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柴崎岳、今冬ヘタフェ退団か。4ヶ月ぶり先発…現地直撃取材で解き明かす歴史的快進撃の裏側

text by 舩木渉 photo by Getty Images, Wataru Funaki

柴崎は今冬のうちに移籍すべきか

ボルダラス
ホセ・ボルダラス監督は会長からの揺るぎない信頼を獲得している。しばらく解任の心配はなさそうだが…【写真:Getty Images】

 クラブのトップが表向きに現所属選手への信頼を強調しても、現場の動きはまた別のところにある。会長の発言とは裏腹に、すでに先述のグアルディオラにはバジャドリーからの接近が明らかになっており、同じく戦力外状態のイバン・アレホには昇格組のウエスカ移籍が濃厚と見られている。

 数多くのオファーが舞い込んでいるとされるトーゴ代表DFジェネは、1-1で引き分けた21日のジローナ戦で味方に足を踏まれて負傷してしまったが、急激に評価が高まる現状を考えれば将来的にステップアップしていく可能性は高いだろう。

 トーレス会長は、ボルダラス監督に対し「私が見てきた14人の監督の中で、最も完璧。大きく、安定したチームを作っている」と賛辞を惜しまない。そして、買い取りオプション付きのレンタル移籍ではあるが、指揮官が夏から獲得を要望していたサム・サイスを半年がかりで連れてくるなどサポートも惜しまない。27歳のMFはかつてBチームから昇格してトップリーグデビューを果たしたクラブに戻ってきた。

 ヘタフェは現時点で6勝7分4敗、勝ち点25を積み上げている。これは歴代2位の記録で、今季の失点数はアトレティコ・マドリーに次いでリーグで2番目に少ない、歴史的なシーズンを過ごしている。7位で2018年を終えて来季のヨーロッパリーグ出場権獲得も十分に狙える現状、そして会長から「完璧」と称される監督の信頼が揺るぎないものである限り、柴崎の立場は厳しくなっていく一方だろう。

 出場機会が散発的で十分なアピールができず、補強も指揮官の望み通りに進み、Bチームからウーゴ・ドゥロをはじめとした新進気鋭の若手たちも昇格してトップチームの競争に絡んできている。そして後半戦の行方を占う上で重要な1月に日本代表としてアジアカップに出場するため、チームを離れなければならない。逆に現時点で前向きな事柄を挙げるのは非常に難しい。

 この2週間、柴崎の周りで起きたことやこれから起こりそうなことを複合的に検討すると、やはり今が移籍すべきタイミングなのではないかという考えが強くなってくる。アジアカップで決勝まで勝ち進めば新天地への合流は2月初旬になってしまうが、それでも将来を考えて決断を下すべき時なのではないか。26歳の日本代表MFが今冬のうちにヘタフェを去る可能性は、これまで以上に高まっている。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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