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柴崎岳、今冬ヘタフェ退団か。4ヶ月ぶり先発…現地直撃取材で解き明かす歴史的快進撃の裏側

text by 舩木渉 photo by Getty Images, Wataru Funaki

指揮官はプレーぶりを称えるが…

 その後は攻撃面よりも守備面での気の利いたカバーリングやポジショニングが目立った。リーガでプレーするにあたって確かな進歩は見えたが、コンタクトプレーは苦手なまま。相手に背を向けた状態で寄せられた際にボールコントロールが乱れる場面が頻繁にあった。やはり縦への突破力や裏へ抜け出す動き、ボールキープといった能力が求められるヘタフェのサイドMFにプレースタイルが合致しているとは言えないか。

 58分にはボルダラス監督がモリーナをベンチに呼んで指示を授けると、柴崎はアンヘルとポジションを入れ替えてトップ下(守備時は実質2トップになる)へ移った。望んでいた中央でのプレーになったが、これはプレー強度が落ちてきたから。やはりそこに依然として課題はある。

 約10分後の69分に柴崎はポルティージョと交代でベンチに下がった。やはり普段あまりプレーしていないこともあって、事前にある程度想定されたプランの中での交代だったのだろう。現地メディアの多くは背番号10のパフォーマンスに不足があったと見ている。

 一方、ボルダラス監督はソシエダに1-0で勝利した後の記者会見で「彼はよくやっていた。成長しているし、チームが技術的に、そして戦術的に何を必要としているのか、うまく解釈できている。起用したのは戦術的な決断だった。長い間プレーしていない選手で、フィジカル的に難しいのは仕方ないが、チームによく貢献してくれたことを嬉しく思う。私は彼の働きに満足している」と柴崎のプレーに賛辞を送った。

 ただ、指揮官のこの発言を真正面から受け取ってはいけないかもしれない。負傷者が出ているとはいえ、先発起用そのものがサプライズだったことを踏まえると、柴崎に与えられた69分間には2通りの意味合いが考えられる。

 1つは、単純にアマトの抜けた穴を埋める人材を探す中で、アジアカップで最長1ヶ月間チームから離れる前に柴崎を試すため。2つ目は冬の移籍市場での放出を前提にした最後のテストとショーウィンドウを兼ねての起用だ。

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