幕を開けた中国による“爆買い合戦”。スポーツ面だけではない、その真の目的とは?【億万長者クラブの真実(2)】

世界中で起こっているサッカーバブルの全貌を解き明かす。 サッカー界を「異様」とさせた億万長者たちの正体を、英国人ジャーナリストが徹底取材した『億万長者サッカークラブ』(カンゼン)から一部抜粋して公開する。(文:ジェームズ・モンタギュー/訳=田邊雅之)

2019年01月03日(Thu)10時40分配信

text by ジェームズ・モンタギュー photo Getty Images
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トップクラスの選手を高額で次々獲得

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広州恒大がA・マドリーより獲得したジャクソン・マルティネス【写真:Getty Images】

 だが、中国サッカーは再び息を吹き返す。しかも今回は、国家主席自らが直々に再建に乗り出す格好になった。

 習近平は五つの部会に、現状分析とラディカルな改革の断行を指示。これを受けて起きたのは、中国企業や富裕層が、狂ったようにサッカーに投資をし始めるという現象だった。丸いボールに政府のお墨付きが与えられたことによって、一気にピッチ上に金が流れ込み始めたのである。

 『バンブー・ゴールポスト』の著者、シモンズは語る。

「計画案が発表されるやいなや、すべての人が目を通したし、どうやって貢献できるかを検討した」

 それは中国の資本家たちがサッカーファンだったからではない。彼らを動かしたのは、共産党のエリートたちの歓心を買い、政府のプランに相乗りしたいという思惑だった。

 まず彼らの思惑は、新たな国内リーグ「スーパーリーグ」の設立という形で結実する。

超富裕層がクラブを所有し、膨大な金を積んで有名選手をかき集めるようになった結果、スーパーリーグは瞬く間に世界的なブランドに成長した。

 しかもスーパーリーグによる有名選手の補強には、大きな特徴があった。

 これまでのサッカー界では、選手生活の晩年を迎えたスターたちが、最後の一稼ぎをするために「東」に向かうケースが大半を占めていた。だがスーパーリーグで起きている現象は、このようなステレオタイプから程遠い。

 たとえばアジア・チャンピオンズリーグの優勝チーム、広州恒大が3200万ドルでアトレティコ・マドリーから獲得したのは、コロンビア代表のジャクソン・マルティネスである。

 江蘇蘇寧はブラジル人のアレックス・テイシェイラとラミレスを、それぞれ3800万ドルと2500万ドルで呼び寄せている。特にテイシェイラの移籍金は、アジアにおける新記録となった。

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