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トルクメニスタン代表MF、日本戦は「最後の試合のつもりで」。父も出場したアジア杯へ

text by 舩木渉 photo by Wataru Funaki

ルスラン・ミンガゾフ
トルクメニスタン代表の攻撃の柱を担うMFルスラン・ミンガゾフ【写真:舩木渉】

 現地時間9日に行われるアジアカップのグルプリーグ初戦で日本代表と対戦するトルクメニスタン代表は、7日に非公開で練習を行った。

 報道陣に公開された冒頭15分間のうち、最初の5分間は主力組と見られる10人をホワイトボードの前に集めて入念にミーティング。サブ組と見られる9人は先にウォーミングアップに入り、GK3人も分かれてトレーニングしていた。

 なお、動いていたのは22人で、残る1人は詳細は不明ながらピッチ脇に座ってチームメイトたちを見つめていた。怪我によるコンディション不良などの可能性がある。

 約1時間10分間におよんだ練習後に取材に応じたMFルスラン・ミンガゾフは「トルクメニスタンにとって、日本戦はビッグゲームになる。僕たちは長い間、この大会を待っていた。アジアでも最強のチームと戦うことになる。相手のことをリスペクトするが、僕らは戦いを挑む。試合に向けて準備はできている」と意気込みを語った。

 同選手はトルクメニスタン代表の中でも数少ない海外組の1人で、チェコ1部のスラビア・プラハに所属している。父カミル・ミンガゾフは、15年前にトルクメニスタンが史上唯一出場したアジアカップに同国代表として参戦したDFだ。

 当時36歳で大舞台に立った父の姿を息子ルスランは鮮明に記憶しており、「今大会は新たな挑戦になる。いいプレーをしたい。全ての国が僕たちの試合を見るだろう。僕たちの家族や、全トルクメニスタンのためにプレーしたい」と母国にアジアでの初勝利をもたらそうとモチベーションは高い。

 日本代表については「アジア最強のチーム」と認識している。その中でも「ガラタサライの長友佑都のプレーが好き」と同じサイドでマッチアップが予想されるベテランDFを強く意識している様子だったミンガゾフ。世代交代の過程にある森保ジャパンが、自分たちにとって困難な状況を生み出すのではないかと見ている。

「さらに何人かの選手を知っている。例えば香川真司とか。でも彼らはこの大会には来ない。日本代表はよりフレッシュになり、若返った。自分に何ができるかを見せてビッグクラブや強豪国でプレーしたがっている若い選手たちと対戦することになり、僕たちにとってより困難な試合になるだろう」

 それでも日本をリスペクトしすぎることなく「自分たちの試合を見せたい。最後の試合のつもりでプレーしていきたい」と積極的な姿勢で勝利を掴み取りにいくことを宣言した。

「彼らはとても速く、僕たちは2番手であるようにプレーしていきたい。日本はボールを握って試合をコントロールし、早くゴールを欲するだろう。僕たちはそこからボールを奪って、カウンターアタックで素早く前線まで持っていきたいし、守備陣の質の高さを見せていきたい」

 トルクメニスタンは初出場だった2004年のアジアカップで1勝も挙げられずに大会を去った。ミンガゾフは父のリベンジを果たし、初勝利と決勝トーナメント進出をかけて今大会に臨む。母国をけん引する27歳の覚悟は半端ない。

(取材・文:舩木渉【UAE】)

【了】

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