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日本代表 5年前

堂安律が開いたアジアカップ4強への扉。イラン戦で示したい力とビッグクラブ移籍の近道

text by 元川悦子 photo by Getty Images

「乾君のことは天才だと思っている」

「もう入る気しかしてなかったので、自信満々で蹴りました」と言い切る彼の一撃がなかったら、日本はズルズルとベトナムのペースに引き込まれていたかもしれなかった。

 大きな重圧のかかる場面でPKを決めた弱冠20歳のアタッカーの強心臓ぶりは特筆すべき点。値千金のこのゴールが決勝点になったのだから、堂安の貢献度の高さは評価されるべきだろう。しかしながら、本人が自信を深めたのはPKに至る攻撃の組み立ての部分だったという。

「ホントにあれこそ森保さんが求めているサッカーだと思います。後半、徐々に縦パスが入って3人目が絡んで飛び出すっていう動きがやっと連動できて、ホントに今大会初めてじゃないかっていうくらいの動き出しができてきた。元気君にはアシストをつけてあげたかったけど、いい崩しからもらえたんじゃないかなと思います」と堂安は嬉しそうにコメントしていたのだ。

 前半は左足でファーストタッチする癖を見破られ、人数を割いて守るベトナム守備陣に引っかけられていた彼だが、後半は南野、酒井宏樹と連係しながら効果的な攻めを見せるシーンが格段に増えた。

「少し間合いが空くようになってから、自分が律の外から回ったり、中から回ったり、誰か3人目を経由したりとか、そういうのは楽しめるようになってきた」と酒井宏樹も堂安との関係性をポジティブに捉えていた。

 堂安が連係を深めたのは、その2人だけではなかった。彼のサイドチェンジを受けた原口が左から中に切れ込んでフィニッシュに持ち込んだり、途中からピッチに立った大迫勇也、乾貴士と絡んでゴールに迫るなど、他のアタッカーと生かし生かされる関係も垣間見せたのだ。

「サコ君、乾君とはやってて楽しいし、乾君のことは天才だと思っているので、また一緒にピッチに立てることができれば、もっとみんなを楽しませるようにしたい」と本人も少なからず手ごたえをつかんだ様子だった。

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