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代表 5年前

カタール代表、エースFWら2人に衝撃の不正疑惑。実は代表資格なし!? 波紋呼ぶUAEの告発

text by 舩木渉 photo by Getty Images, Al Ittihad

もし失格になれば日本代表は…

アルモエズ・アリ
アルモエズ・アリは先月31日の日本戦前日練習でも元気な姿を見せていたが…【写真:Getty Images】

 アルモエズ・アリは、イランの英雄アリ・ダエイ氏に並ぶアジアカップ歴代最多タイの8得点を挙げているストライカーで、大会得点王獲得はほぼ確実な状況。1日の決勝では日本にとっても脅威になるに違いない。UAEを破った準決勝でもゴールを奪っており、試合後には「日本戦でもゴールを決める」と堂々たる振る舞いで宣言していた。

 アル・ラウィは準決勝こそ出場停止だったものの、準々決勝の韓国戦までは最終ラインの一角で全試合フル出場。すでに2得点を奪っており、一躍脚光を浴びるようになった。ルーツのあるイラクからも熱烈に応援されているという。

 だが、疑惑は深まるばかりだ。ここ数日間は事態が急激に前進し、証拠の画像も出回るようになった。『イティハド』紙は「改ざん、汚職、偽造」だと断じ「スポーツ分野における公正かつ公平な競争の価値」が失われているとも主張している。

 一連の報道を総合すればUAE側は徹底追及の姿勢を見せており、集めた証拠を元にAFCやカタール側に対応を迫っていく方針。最終的にはスポーツ仲裁裁判所への上訴も辞さない構えだ。カタールはこれまでにも「外国人」に国籍を与えて自国の代表選手にしようとして失敗した例があり、現代表にも海外にルーツを持つ帰化選手が多数招集されている。

 サンチェス監督率いるチームの選手たちが育った国家プロジェクト「アスパイア・アカデミー」には世界中から選抜された子どもたちが連れてこられているのも周知の事実だ。アルモエズ・アリも9歳でアスパイアに入門したと伝えられていて、国家の期待を背負って英才教育を受けてきた選手の1人なのである。

 もし彼らが18歳未満で「家族の事情」ではなく「サッカーのために」移住してきていれば、これもFIFAの国際移籍ルール違反にあたるかもしれない。バルセロナ退団を余儀なくされた久保建英と同様にアルモエズ・アリは大陸をまたいでカタールに渡っていて、同じ境遇の選手は他にも大勢いる。

 仮にカタールの代表選手登録に関する不正が認められれば、彼らが出場していた試合は没収になり、AFCの懲罰規定に則ってアジアカップ決勝が終わった後に今大会の結果が覆る可能性もある。つまり「3-0」で日本にアジア王者のタイトルが与えられるということもありうる。

 何らかの裁定が下されるかが判明するまで最低でも2週間はかかるようだが、今後の動向にも注目していきたい。もし不正が認められれば、3年後に悲願のワールドカップ開催を控えるカタールにとっては大きすぎる痛手であり、歴史的な汚点となりそうだ。

(取材・文:舩木渉【UAE】)

【了】

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