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Jリーグ 5年前

松本山雅はJ1残留を果たせるか?「J2降格候補筆頭」を覆せ。開幕戦で見えた3つのカギ

text by 元川悦子 photo by Getty Images

勝ち点1を生かすも殺すも自分たち次第

松本山雅FC
J1残留へ。勝負はまだ始まったばかりである【写真:Getty Images】

「試合に出ている選手と出ていない選手のモチベーションが違ってくると、チームとしてバラバラになってしまう。今年はルヴァンカップもあるけど、ルヴァンはおろか、残留もできないという最悪の結果になることもあり得る。それだけは気を付けなければいけない」と1年でJ2降格を経験した時の守護神である村山も語気を強めていた。

 彼らのような開幕戦に出られなかったメンバーも含めて選手層を向上していくことが、苦境を乗り越えるための絶対条件だ。

 J1残留へのもう1つのポイントは、ズバリ、得点力アップだろう。磐田戦では岩上の直接FKから1点を奪ったものの、流れの中からの得点は取れなかった。

 前田が快足を生かしてゴール前に詰め寄ったり、永井が自ら奪ったボールを持ち込む決定機があったものの、「あれだけ前から守備してると攻撃に行くところで失速してしまう。ボール取ったら自分のところにパッとボールが来るんできついなと思う」と永井が苦笑いしたように、FW陣へのフィジカル的負担が大きいのも、流れの中からのゴールが生まれにくい要因と言っていい。

 それでも得点数を伸ばしていかなければ、残留は叶わない。2015年J1でも山雅は年間通算30点しか取れず、年間16位にとどまった。昨季J2でもシーズン通算54点というのはやはり少なかった。この数字をいかにして改善していくのか。

 決め手を持つレアンドロ・ペレイラの復帰が待たれるところだが、欲を言えば、彼と永井、前田、セルジーニョで合計30点くらいまで持っていってほしい。残留には年間35点以上、安全圏に達したければ40点を目指す必要があることを肝に銘じるべきだ。同時に、武器であるリスタートを研ぎ澄ませることにも取り組んでもらいたい。

 J1での実績の少ないプロヴィンチャのチームの残留はハードルが高いものの、クラブは3シーズンJ1に残って土台を固めたいと考えている。その大目標に向けて、山雅の戦いはここからが本番だ。磐田から手にした勝ち点1を生かすも殺すも自分たち次第。初戦ドローという結果に満足することだけは許されない。

(取材・文:元川悦子)

【了】

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