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冨安健洋はベルギーでどのように成長しているのか?「1つ1つ」。眼光鋭く、輝ける未来へ

text by 元川悦子 photo by Etsuko Motokawa

90分を通して高い貢献度。しかし結果は…

冨安健洋
シント=トロイデンは強豪相手に奮闘するも、終盤の失点で0-1と敗北。「もったいない試合だった」と冨安は振り返っている【写真:元川悦子】

 それほど貢献度の高い守備を見せただけに、最低でもスコアレスドローで終わりたかったところだが、STVVは終盤のイージーなミスからPKを献上。それをファナケンに決められ、まさかの0-1でタイムアップの瞬間を迎えることになった。90分間通して大いに奮闘した冨安はしばらく天を仰いで悔しさを噛みしめた。その姿は屈辱感に打ちひしがれたカタール戦後を彷彿させた。

「もったいない試合だったなと思います。勝つチャンスと言うか、勝ち点を取るチャンスがあったんで。相手に押し込まれた? それも予想通りというか、僕個人としてはやられる感はなかったです」と冨安は相手に攻めさせる展開で十分イケると考えていたようだ。

 その思惑通りの結果が出せず、勝ち点を伸ばせなかったSTVVだが、冨安自身はモラエス封じに成功し、途中から自分の前に詰めてきたファナケンにも仕事らしい仕事をさせなかった。そこは自信を深めた点だろう。

「前に入ったりとか、体をぶつけたりとか、いろんな駆け引きしようっていうのは試合前からイメージしてました。前半の最初はファウルになっちゃう部分もありましたけど、僕の中では感覚は悪くなかったですし、主導権を渡さないように意識してやってました。

 他の選手の対応もチームメートとコミュニケーションを取りながらやっていたつもりだけど、監督としてはまだまだ物足りない感じだった。そこは改善していかないといけないと思います」と本人は神妙な面持ちでコメントした。

 貪欲に成長を渇望する姿勢を、冨安はより強く前面に押し出すようになった印象だ。それもアジアカップで優勝を逃した悔しさと屈辱感を忘れていないからだろう。

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