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Jリーグ 5年前

大分、偶然ではない強さの源泉は? 6年ぶりJ1で好発進、監督・選手の言葉から滲み出るもの

text by 青木務 photo by Getty Images

狙った形でゴールを奪う

「10人の相手に戦わなければいけなくなった状況、簡単そうに見えて一つ間違えると厳しい試合になる、紙一重の戦いだったと思います。そういう中で選手は、相手が10人だろうがどういう状況だろうが、自分たちの狙いを合わせて90分切らさずに、最後までやってくれました」

 大分の片野坂知宏監督は試合後、時折声がかすれながらも丁寧な口調でイレブンをたたえた。3-4-2-1のシステムで戦った大分はサイドを起点に、周囲との連係から相手を崩していった。

 先制点を挙げるなど勝利に貢献した藤本も、ワイドからの攻撃に手応えを感じている。取材エリアを素早く通過しようとして記者陣に呼び止められたエースは、いたずらっぽく笑うと真剣な表情で試合を振り返った。

「相手が10人になってからも慌てて攻めないで、しっかりサイドからテンポ良くボールを動かすことができた。クロスのフィニッシュのところは集中して、決め切れるように準備していました。(松本)山雅戦とかも同サイドから行き過ぎている場面があったと思うんですけど、そこは少し改善して、いいテンポといい距離感のなかでもっともっとサイドを攻略したいと思います」

 後ろからボールを繋ぎ、味方が的確に顔を出してパスを受ける。その繰り返しの中で相手の隙を探り、チャンスの瞬間を逃がさない。先制点は右サイドの深いところへ後藤優介が侵入し、2点目は左サイドでパスを回すと福森直也がアーリークロスを供給した。「相手の変化を見て判断して、攻撃を構築する狙いでやっています」と指揮官は話したが、2点ともその言葉通りだった。

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