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鈴木武蔵はどうだった? 大迫不在のコパ・アメリカまで生き残れるか。その評価は…

text by 編集部 photo by Shinya Tanaka

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鈴木武蔵【写真:田中伸弥】

【日本 0-1 コロンビア キリンチャレンジカップ2019】

 日本代表は22日、キリンチャレンジカップ2019でコロンビア代表と対戦し0-1で敗れた。

 今年初めに行われたAFCアジアカップ2019で、日本代表は準優勝に終わっている。ロシアワールドカップ後に発足した森保一監督体制にとって最初の公式戦だった。決勝ではカタール代表に丸裸にされて優勝を逃がしたものの、苦しい戦いを勝ち上がってきたこと自体は評価に値した。

 そんな森保ジャパンにとって最も重要な役割を担っていたのが、大迫勇也だ。1トップのポジションでボールを収め、チームの攻撃のスイッチとなる。当時の日本のFW登録では武藤嘉紀や北川航也も奮闘していたが、大迫の存在感は別格だった。しかしこの大会で負傷し、今回の3月シリーズは招集が見送られた。

 そうした中で迎えたコロンビア戦、最前線でスタメン出場の機会を得たのが鈴木武蔵だ。ジャマイカ人の父と日本人の母を持つ25歳は、この日がA代表デビュー戦だった。リオ五輪世代のストライカーで、中島翔哉、南野拓実らとは同世代。互いに特徴をわかっているため、前線での連係もまずまずだった。

 鈴木がスピードを生かして裏へ飛び出すと、中島がタイミングよくボールを供給するシーンもあった。単純な速さは大迫以上だろう。また、この日は相手を背負いながら正確なポストプレーで攻撃を加速させるなど、コロンビアの守備陣のパワーにも健闘していた。

 一方、ボックス内でフリーになっても肝心のシュートは精度を欠いた。躍動感があってアグレッシブ。味方にとっては頼もしく、相手にとっては何をするかわからない怖さがあるだけに、最後の局面での正確性が身につけばさらに面白い存在になっていくのではないか。

 今季から北海道コンサドーレ札幌に移籍し、すでに3ゴールを記録している。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の下で様々なことを学んでいるはずで、志向するサッカーの特性を考えれば味方との細かな連係など精度の高いプレーも吸収していくと思われる。

 得点やアシストなど結果を残せたわけではなく、後半は疲れからかプレーの強度も落ちた。“大迫依存”脱却の切り札というには時期尚早だろう。しかし、大迫だけにいつまでも頼ってはいられない。

 所属するブレーメンは大迫がアジアカップで酷使されたとして、コパ・アメリカに参加させないことを表明している。そうなると、日本代表としては彼に代わる1トップが必要となる。

 総合的に見て鈴木はまだ大迫に及ばないが、光る片鱗は見せたと言える。FW争いを盛り上げる存在にはなるだろう。26日のボリビア代表戦も引き続き出場機会を得られるかはわからないが、その後もJ1でインパクトを残していけば、コパ・アメリカまで生き残っている可能性はあるのではないか。

【了】

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