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代表 5年前

ドイツ代表、“引退勧告”は正解だったか? ミュラーの居場所はない。若き力はどう生かされたのか

text by 本田千尋 photo by Getty Images

3年後のカタールW杯を見据えた陣容に

 ボアテングについては、代表ウィークに入る前のリーグ戦4試合でフル出場を続けており、一考の価値はあるかもしれない。だが、3年後のカタールW杯を見据えて長期的な視点に立てば、バイエルンの同僚で23歳のズーレに今回のオランダ代表戦のような「浮き沈みのあるゲームを体験」させようとするレーブ監督の考えも理解できる。そしてミュラーだが、攻撃陣にスピードと推進力を求める[5-2-3]の布陣の中では、ポジションを見つけるのが難しいかもしれない。

 “ビッグ3”を外したレーブ監督のやり方の是非はともかく、ひとまずドイツ代表は再建の第一歩でつまずかず、新たなスタートを切ったと言えるのではないか。

 オランダ戦を終えて、5月の終わりに30歳になるロイスは、次のようなコメントを残した。

「僕たちには、圧倒的なスピードと強大な意思を持った本当に良い若手が揃っている。決勝点は、このチームの性格が示した意思の成果だったね。それは僕たちにとても大きな自信を与えてくれた。チームの雰囲気にとって、この勝利はとてつもなく重要なものだ」

 先発したサネ、ニャブリ、キミッヒ、ズーレだけでなく、ベンチスタートだったヴェルナー、ユリアン・ブラント、カイ・ハーヴァーツ、ヨナタン・ターなど、“新ビッグ3”候補は控えている。もちろん今回のオランダ代表戦で「自信」を得たとは言え、EURO予選、さらに本大会と、今後も難しいゲームに遭遇するだろう。

 今やドイツ代表のヨーロッパでの立ち位置は、再建中の挑戦者。だが、苦しんだ「経験」の積み重ねは、若き“三銃士”を、いずれふてぶてしい“ビッグ3”に変貌させるに違いない。

(文:本田千尋)

【了】

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