「今年一悪いんじゃないか」。それでも寄せられる信頼
オランダに渡って、早2シーズン目が終わろうとしている。FCフローニンゲンで、堂安律は、すっかり中心選手としての風格を漂わせていた。
3月30日に行われたエールディビジ第27節。昼の暖かい日差しを裏切るような寒さに包まれ、屋根裏に連なるヒーターが赤く灯るAFASスタディオン――。
アウェイに乗り込んだAZアルクマール戦で、堂安は先発出場した。ポジションはセカンドトップ。3月の日本代表2連戦が終わり、チームに合流して間も無かったが、即先発で起用されるあたり、ダニー・バイス監督からの信頼の厚さが伺える。
もっとも、AZ戦での堂安は精彩を欠いた。自らボールを奪っても、パスを貰っても、すぐに奪い返され、味方とのコンビネーションも噛み合わない。堂安は「今年一悪いんじゃないかというくらいの出来だった。たぶん監督も僕があんなに悪くなると思っていなかったと思う」と振り返った。
フローニンゲンのチーム自体が、AZに対して、後方からきちんとビルドアップを図って、ゲームを組み立てることができなかった。基本技術のしっかりとしたAZの選手たちにボールを回され、堂安も守備に追われた。
0-1というスコア以上の差を見せつけられての完敗だった。試合開始直後から、堂安は走りに走ったが、25分に訪れたチャンスを決め切れず、64分に途中交代となった。日本からオランダに戻ってすぐのゲームは、体力面も含め、簡単ではなかったようだ。
それから3日後の4月2日、第28節、対デ・フラーフスハップ戦——。前節AZ戦で低調なパフォーマンスに終始し、かつ中2日だったにもかかわらず、堂安は先発出場。フローニンゲンでの地位は揺るぎないものになっている。