ジョアン・シミッチが風間グランパスの戦術に不可欠な理由。混沌を操る今季最高級の助っ人【西部の目】

2019年04月26日(Fri)11時10分配信

シリーズ:西部の目
text by 西部謙司 photo Getty Images
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包み込む守備とは?

 具体的にいうと、名古屋の守備はサイドハーフが外側へのパスコースを切る。例えば、敵の選手2人がタッチライン際にいて、1人は名古屋のサイドバックがマークしているとする。このときサイドハーフ(ガブリエル・シャビエルまたは和泉竜司)が、もう1人の敵をマークするために下がるのではなく、あえて下がらずにそこへのパスコースを遮断するポジショニングをする。

 見た目にはサイドで敵が1人フリーになっているのだが、そこへパスは通らない。さらに、サイドハーフが対面しているボールを持った敵にプレッシャーをかけることもできる。つまり、1人で面前と背中側の敵2人を守ることができる。

 リバプールもこの守り方をしている代表的なチームだ。この守り方の問題は、中央へのパスコースが開いているということ。リバプールはミルナー、ヘンダーソン、ケイタなど、屈強なMF3人を中央に配置しているが、名古屋で中央エリアにいるのはシミッチと米本の2人だ。それだけ2人への負荷も大きくなる。

 2トップの1人である長谷川アーリアジャスールが猟犬のようにボールを追ってくれるおかげでバランスは保てているが、シミッチと米本のコンビでなければ成立しない守備戦術かもしれない。ただ、包み込む守備が機能しているかぎり、ディフェンスラインは下げなくていいし、攻撃力のあるサイドハーフもむやみに下げなくてすむ。サイドで敵をフリーにしているぶん、中央のボール周辺の密度は高くなる。

 守備の密集度が高ければ、それだけ奪った直後の敵のプレッシャーも速くなるが、そこをかいくぐるパスワークはそれこそ名古屋の「特徴」だ。中央を起点にできる優位性もある。

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