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香川真司 5年前

香川真司には「時間が少なすぎ」、長友佑都は「助かった」。明暗分かれた熱狂の渦での再会

text by 本田千尋 photo by Getty Images

「最初からシンジが出ていたら…」

長友佑都
ガラタサライのDF長友佑都【写真:Getty Images】

 香川がダービーで感じた悔しさが、決して独りよがりのものではないことは、対戦相手の長友佑都が証明している。

「正直、シンジが10分、15分程度の(プレー)時間で、僕らとしては助かりましたよ。彼が一番クオリティがあって、一番視野が広くて怖い選手であって、明らかに彼が出てきてからボールが回り始めたというか、散らされ始めたのでね。僕らとしては、最初から彼が出ていたらどうなっていたんだろうとか、後は後半のもっと早い時間帯に彼が入ってきたら、もっと厄介な試合になっていたんじゃないかなあって、正直、思いますよ。だから、僕ら助かりましたね」

 香川が出場してからの15分を無失点で終えて、安堵の様子の長友。翻って香川が出場するまでの75分間、ベシクタシュの攻撃は「怖くなかったですよ」と言い切る。ベシクタシュは、前半に何度か中盤でボールを奪ってカウンターを仕掛けたが、長友はあくまで「自分たちのミス」と捉えている。

「自分たちのミスでね、ああやって危ないシーンがあったんですけど、ベシクタシュがボールを持っている時に、怖さっていうのは正直なかったです。むしろシンジが入ってきて、いろんなバリエーションが増えて、バイタル(エリア)のスペースでシンジにボールを持たれて、やられる方が、正直もう怖かった」

 このように長友が語るところでは、ゴール、アシストといった結果は残せなかったが、限られた15分間でガラタサライに脅威を与えた香川。しかし起用法を振り返れば、セニョル・ギュネス監督は現在、背番号23を先発としては考えていないようだ。

 今季のスュペル・リグも残り3試合。長友による香川評が、日本人選手による日本人選手へのリップ・サービスなのか、それとも実力を等身大に評価したものなのか。香川は、改めてギアを上げて、その力を証明する必要がありそうだ。

(取材・文:本田千尋【トルコ】)

【了】

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