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チェルシー対フランクフルト、熱戦の行方は? 長谷部誠は小野伸二以来のEL決勝進出なるか【EL準決勝プレビュー】

text by 編集部 photo by Getty Images

大砲ジルーはELで発散中

 ところがこれが完全に裏目に出てしまい、序盤から失点が止まらない。開始2分でカイ・ハフェルツにゴールを許すと、13分にはユリアン・ブラントに点差を広げる追加点を奪われる。直後の14分にコスティッチのゴールで一時は1点差に迫るも、23分にルーカス・アラリオ、28分にチャルレス・アランギス、34分に再びアラリオ、最後は36分にマルティン・ヒンターエッガーが痛恨のオウンゴールを献上し、前半を終えた段階で1-6と埋めがたい大差をつけられていた。

 スタッツを見てもレヴァークーゼンのシュート16本に対し、フランクフルトは2本。枠内シュート数も10本と2本で大きく離され、ボール支配率に至ってはレヴァークーゼンが82%、フランクフルトが18%という有様だった。気合いのみなぎったELチェルシー戦からは想像もつかない崩壊ぶりである。

 一方のチェルシーは普段通りの戦いぶりでワトフォードを一蹴した。ELではベンチスタートだったエデン・アザールやマテオ・コヴァチッチ、ゴンサロ・イグアインがスタメンに戻って3-0。さすがのビッグクラブだけあり、そのスカッドにはリーグ戦とカップ戦でターンオーバーできる余裕がある。

 その象徴がオリヴィエ・ジルーだ。リーグ戦では26試合に出場しながらプレータイムはわずか826分間にとどまっており、ほとんどが途中出場。前半戦はアルバロ・モラタ、後半戦はイグアインの後塵を拝している。しかし、ELではチェルシーのエースとして継続的に先発起用され12試合で10得点と猛威を振るう。

 フランクフルトも2日の1stレグで「対ジルー」を強く意識した布陣を敷いた。普段のリーグ戦で3バックの中央を務めることが多い長谷部誠を1列前に出し、そのポジションに頑強なストッパータイプのヒンターエッガーを配置。リベロ色が強くフィジカル勝負で分の悪いベテランではなく、力と力をぶつけるやり方で真っ向から立ち向かった。

 その策はヒンターエッガーの奮闘によって概ね成功していたと言える。それでもチェルシーには“脇役”だったロフタス=チークがいて、エンゴロ・カンテは長谷部に狙いを定めて何度もボール奪取からカウンターの起点となり、ジョルジーニョは生き生きとパスを捌いた。そしてベンチからはアザールやコヴァチッチが登場し、イグアインやロス・バークリーも控えていた。これを脅威と言わずしてなんと呼ぼう。

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