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Jリーグ 5年前

湘南MF齊藤未月、世界一の男と同じ雰囲気とは? 何を成し遂げても『まあ、そうなるよな』【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

なろうと思ってもなれない

 齊藤は現役時代のデシャンとも似ていて、1つ1つのプレーに意志が乗っている。まず、いい加減なプレーがない。ただ、リーダーシップはプレーヤーとしての資質と直接の関係はなく、たとえばペレはキャプテンではなかった。優れた選手だからといってリーダーシップがあるとはかぎらない。

 なろうと思ってもペレにはなれないように、デシャンや齊藤未月にもなれない。長谷部誠やボビー・ムーアは若くして代表のキャプテンになっている。アヤックスのキャプテン、マタイス・デリフトは19歳だ。

 人より遠くへボールを蹴る能力と、チームの先頭に立って引っ張っていける能力は、サッカーにおいて優劣はつかない。単純に適材適所として、リーダーがいればキャプテンを任される。戦いの場のリーダーは、真っ直ぐで、裏表がなく、冷静、明晰、何より闘士であり勇者だ。

 CL決勝進出を残り30秒で逃したデリフトは「夢が砕け散った」と話していたが、「今、何かを言うのは難しいけど、先へ進まなければならない」とも言っていたそうだ。国内リーグ優勝のために、まだ2試合残っているからだ。19歳でも、群れを先導する資質しか感じない。

 齊藤のプロ選手としてのキャリアは始まったばかりだが、将来、何か大きなことを成し遂げたとしても、たぶんこう思う気がする。「まあ、そうなるよな」と。

(取材・文:西部謙司)

【了】

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