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Jリーグ 5年前

“新生”ヴィッセル神戸にイニエスタの入り込む余地なし。ベンゲル招聘も疑問、ついに見えた最適解

text by 藤江直人 photo by Getty Images

イニエスタが入り込む余地は見えない

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神戸招聘が噂されるベンゲル【写真:Getty Images】

 そして、山口の相棒には前半だけでベンチへ下がったセルジ・サンペールよりも、ベルマーレ戦の後半では両サイドからの攻撃を活発化させたアカデミー育ちの安井拓也が目立った。これでフィールドプレーヤーは10人。ベルマーレ戦の後半途中から復帰したポドルスキも、コンディション不良で2戦連続ベンチ外となったイニエスタも、3バックと3トップを併用する限りは入り込む余地が見えてこない。

 特にベルマーレ以外の相手も嫌がる、ウェリントンへのロングボールを多用。セカンドボールを拾いまくり、サイド攻撃を仕掛けていくスタイルを継続するならば、中央突破を十八番とするキャプテンのイニエスタが完全復帰を果たしても、起用法は大きく限られてくる。ポドルスキはビジャか右サイドの控えとして定着するのではないだろうか。

 負けて連敗を8に伸ばせば、失点次第では最下位へ転落していた正念場で会心の結果を残した吉田監督にとっても、昨秋の実質的な解任から異例の再登板を果たしてから9試合目での初白星。ルヴァンカップも敗退したなかで、これからはプレッシャーも軽減されるなかで采配を振るえるだろう。

 もっとも、ピッチの外では新たな、そして大きな動きも海外から伝わっている。次期監督としてアーセナルを22シーズンにわたって率いた名将、アーセン・ベンゲル氏へオファーを出したという報道が現実のものとなれば、難産の末に見えてきた最適解もまた初期化されるはずだ。

「具体的な動きはないです」

 ベルマーレ戦後にメディアへ対応した、親会社である楽天株式会社の三木谷浩史代表取締役会長兼社長は、同じ言葉を3度繰り返してベンゲル氏の招へいを否定した。しかし、報じているのは1社だけではない。火のない所に煙は立たぬ、とは古今東西でよく言われる。実際、普段は必ず観戦する三浦淳寛スポーツダイレクターは渡欧中とされ、ベルマーレ戦には姿を見せなかった。

 長く暗いトンネルを抜け出した喜びをファンやサポーターと共有し、一方では再び大騒ぎになる予兆ものぞかせながら、ヴィッセルは敵地エコパスタジアムで来月1日に行われるジュビロ磐田戦で連勝をもぎ取るための準備を進めていく。

(取材・文:藤江直人)

【了】

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