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Jリーグ 5年前

“新生”ヴィッセル神戸にイニエスタの入り込む余地なし。ベンゲル招聘も疑問、ついに見えた最適解

text by 藤江直人 photo by Getty Images

「戦うメンタリティーを持ってないといけない」

「練習から彼とはよく話しているんだ。こういう角度や距離のときは、ワンタッチやフリックでコンビネーションを生かそうと、ね。ハーフタイムでもちょうど確認したばかりだったんだ」

 練習の賜物だとウェリントンが胸を張った三田の追加点のわずか2分後には、勝利を決定づける3点目が生まれる。左サイドを2本の縦パスでつなぎ、左に張っていたビジャがカットイン。細かく、なおかつ鋭い振り足から放たれた一撃に、ベルマーレの守護神・秋元陽太は一歩も動けなかった。

 今シーズンから加入した山口や西、外国籍選手枠からあふれる形で燻っていたウェリントンを含めて、ヴィッセルの選手個々の能力の高さとリーグ戦における成績はリンクしているとは言えなかった。それなのに、なぜ第5節以降で7つもの黒星を並べてしまったのか。

「いろいろな意見があるのは当然だと思いますが、ひとつはチームが団結して戦うことができず、少しバラバラだったということ。サッカーはどれだけいい選手がいても、全員が戦うメンタリティーをもって戦わないといけないし、それだけJリーグは非常に難しいリーグだと思う」

 吉田監督がけが人の多さとともにあげた、不振に陥った理由をメンタル面に求めた。以心伝心と言うべきか。山口もどん底に突き落とされたことで、全員の心のなかで化学変化が起こったと振り返る。

「いろいろなことがあって落ちるところまで落ちて、これ以上は悪くならないような状況になって、みんなのなかで『このままじゃダメだ』という責任感ないし自覚が、少しずつ出てきたんじゃないかと思う。これだけ苦しんだなかでの勝利は、いままでとは違うものがあるけど、それがこの試合だけで終わってしまえば意味がない。毎試合、今日のような気持ちで挑みたい」

 ヴィッセルに見えてきた最適解をあらためて紐解けば、先制点を含めた失点を減らす意味でも最終ラインは3バックを継続。前線は相手守備陣へ脅威を与えるウェリントンを中央、ビジャを左に固定し、右は運動量が豊富な三田か、3得点をあげながら故障離脱中の韋駄天、古橋亨梧をすえても面白い。

 となると、中盤は4枚。アウトサイドは左が小川慶治朗や橋本和、右が西と層がやや薄い。左右両方でプレーできる初瀬亮の故障からの復帰が待たれる。

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