EL決勝、チェルシー対アーセナルはなぜ3点差もついたのか? 完璧なはずの守備戦術が破綻した理由

2019年05月31日(Fri)12時46分配信

text by 内藤秀明 photo Getty Images
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WBの守備がもたらす効果とは?

 2トップでプレーするアレクサンドル・ラカゼット、ピエール=エメリク・オーバメヤンの二人は、サイドバックへのパスコースを消しながら、中に追い込む守備をする。しかし中の選手、例えばジョルジーニョはエジルがきっちりマークしているので、センターバックのダビド・ルイスとアンドレアス・クリステンセンとしては中へのパスコースを見つけにくい。

 ただしこのタイミングでアーセナルのWBは最終ラインのやや前方に位置しており、まだチェルシーのサイドバックはフリーの状態だ。アーセナルはわざとそこを空けているともいえる。

 するとチェルシーのセンターバックはGKのケパに一度下げて、ケパからサイドバックへロングフィードを送るか、技術に自信のあるルイスがラカゼットの頭越しに浮き球のパスでサイドバックにボールを送ろうとする。

 いずれにしてもこのタイミングのパスは滞空時間の長い山なりのパスになるため、ウイングバックが距離を詰める時間が発生する。このタイミングをアーセナルはボールの奪いどころに設定していた。

 スプリント能力の高いセアド・コラシナツとエインズリー・メイトランド=ナイルズはボールが蹴られる直前には猛然とスプリントを開始する。彼らのスピードにかかれば20m程度であればほんの一瞬で詰めることができる。

 チェルシーの両SBセサル・アスピリクエタやエメルソン・パルミエリは決して足元が下手なタイプというわけでもないのだが、前方からプレスがかかっている状態で後方からきた浮き球のパスを前にトラップできるほど、技巧派というタイプでもない。

 結果、後ろにトラップせざるを得ず、そのままアーセナルのプレスが完全にハマるという場面が多々あった。ウナイ・エメリ監督の作戦は完全に機能していた。

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