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日本代表 5年前

日本代表はチリ代表をどう封じる? 植田直通、冨安健洋、板倉滉の3バックは世界に通じるか【コパ・アメリカ】

サッカー日本代表は現地時間17日、コパ・アメリカ2019(南米選手権)の初戦となるチリ代表選を迎える。今大会は2020年東京五輪を目指すU-22世代の選手を中心に構成しており、フォーメーションも同世代のベースとなっている3-4-2-1となる可能性が高い。ワールドクラスの攻撃陣が揃うチリを相手に植田直通、冨安健洋、板倉滉の3バックはどのような戦いを見せるか。(取材・文:元川悦子【サンパウロ】)

text by 元川悦子 photo by Getty Images,Shinya Tanaka

日本代表、初戦の予想スタメンは?

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日本代表の森保一監督【写真:田中伸弥】

 コパ・アメリカ2019が14日に開幕し、開催国・ブラジルがボリビアを3-0で一蹴し、幸先のいいスタートを切った。その一方でブラジルに並ぶ優勝候補のアルゼンチンはコロンビアに0-2で完敗。リオネル・メッシも呆然とするしかなかった。

 そんな中、日本は17日に初戦・チリ戦を迎えるが、2015・2016年大会2連覇中の強豪から勝ち点を取るのは難易度が非常に高い。攻め込まれる時間帯も長くなると想定されるだけに、日本としては強固な守備を構築するところから始めなければならない。大一番を2日後に控えた15日の非公開練習でも森保一監督はそのあたりを入念に確認したと見られる。

 チリは4-3-3システムが有力。最前線には右からホセ・ペドロ・フエンサリダ、エドゥアルド・バルガス、アレクシス・サンチェスが陣取る方向だ。中盤の要であるアルトゥーロ・ビダルも球際の激しさを前面に押し出し、ボールを奪って素早い展開を仕掛けてくる。そのあたりの特徴を踏まえつつ、日本は相手の自由を奪って主導権を握らせないような賢い戦いをする必要がある。

 森保ジャパンの予想スタメンは、GK大迫敬介、DF(右から)植田直通、冨安健洋、板倉滉の並びが濃厚だ。右ウイングバックは原輝綺か岩田智輝のどちらかだと見られ、左ウイングバックは杉岡大暉が入るだろう。ボランチはキャプテンマークを背負う柴崎岳と中山雄太のコンビの可能性が高い。

 そして注目の2シャドウは9日のエルサルバドル戦でも一緒にプレーした久保建英と中島翔哉が並ぶと見られる。U-22世代のリーダー・三好康児の出場も考えられるが、A代表デビューしたばかりの久保の方が序列的に上。やはりここは久保を送り出すだろう。1トップは前田大然が担いそうだ。

ベルギーでの成長を見せたい植田直通

 この陣容だと、守備リーダーは冨安ということになる。アジアカップ2019でA代表のレギュラーをつかんだ20歳の大型DFは6月のキリンチャレンジカップ2連戦(5日=トリニダード・トバゴ戦、9日=エルサルバドル戦)では右DFを務めたが、今回はセンターに入って周囲を動かす役割を担うだろう。

「このチームでやるのが1年ぶり(2018年トゥーロン国際トーナメント以来)だし、仲間の普段の姿を知ってるわけじゃないんで何とも言えないけど、もっと盛り上げてやることができるんじゃないかなと。自分も率先して声をだしていきながらやりたい」とA代表で吉田麻也や槙野智章らの行動を間近で見ている彼はこれまで以上の責任を持ってピッチに立つつもりだ。

 相手のレベルが上がっても冷静沈着さは変わらないはずだが、周りをうまく動かせるかどうかは気がかりな点。左DFに入るであろう板倉滉とはU-20日本代表時代からプレー経験が多いからまだいいが、右DFに入る予定の植田直通との実戦経験は少ない分、連係がスムーズにいくかどうかは未知数のところもある。そこはお互いに息を合わせていくしかない。

 植田の前には世界的アタッカーのサンチェスが陣取ると目されるだけに、細心の注意を払う必要がある。

「ホントにいい選手だし、僕もチリとやると聞いてその選手が真っ先に頭に浮かんだ。動き出しに関してはトップクラス。抑えるために自分がどういう動きをしなきゃいけないかっていう頭の整理をして、それに対応していきたい。

 僕のところで全部潰せればいいという考え方でいるし、自分がチームを引っ張っていきたいので、個の部分では絶対に負けない気持ちでいくつもりです」と植田は森保ジャパン発足直後の昨年9月シリーズ以来の代表招集に目をぎらつかせていた。

 A代表に生き残るためにも今回の貴重なチャンスを何としてもモノにする必要がある。ベルギー移籍1年間の成長を示したいところだ。

グループリーグ突破へ、最終ラインの奮闘が鍵に

日本代表
森保式3バックは世界にも通じるのか。今回のチリ戦でそうした部分が試されそうだ【写真:Getty Images】

 左DFの板倉にしても、この冬からオランダでプレー。出場機会は満足に得られなかったものの、外国人選手と対峙する感覚や止め方は自分なりに体得したという。

「欧州に行って1対1の重要さというのはすごく感じてるし、そこの勝負に重きを置いている。練習から仲間も激しく来るし、臆することなくガツガツやって負けないようにしなきゃいけないと思うようになりました。今回チリの誰とマッチアップするにしても、判断を早くして先にポジションを取ることが絶対に大事。それをやりつつ、1試合1試合負けないようにしたい」と板倉も意識を高めていた。

 柴崎・中山のボランチコンビも欧州組で、今回の守備陣は国際経験値ではA代表に引けを取らない。そこも大きなアドバンテージだろう。ロシアのピッチに立った柴崎、アジアカップでフル稼働した冨安以外はA代表の大きな国際大会に出た選手はいないが、植田や板倉、中山も決して能力は低くない。むしろ植田の競り合いの強さは吉田や昌子源を超えるレベルにあると言っていい。

 そういう強みを最大限生かして、チリの強力攻撃陣を封じてくれれば、日本のグループリーグ突破の道も開けてくる。

 森保式3バックが世界に通じるか。そこが今回のチリ戦で試される。冨安率いる最終ラインの奮闘がミラクルの原動力になる。彼らにはそれだけの自覚を持ってピッチに立ってほしい。

(取材・文:元川悦子【サンパウロ】)

【了】

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