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日本代表 5年前

久保建英のレアル移籍。スペイン人記者が読み解く「移籍金なし、厳しい立場かも…」「禁断の移籍とは違う」

text by 舩木渉 photo by Getty Images, Shinya Tanaka

「久保にとっては簡単ではない状況」

久保建英
久保建英にとってレアル・マドリーでの立場は厳しいものに?【写真:田中伸弥】

 久保はとてつもない壁を乗り越え、トップチーム昇格のチャンスを掴めるのだろうか。ソレール記者の見解に「ヴィニシウスとは違う」と異を唱え、18歳の日本人ファンタジスタが極めて困難な道を進むことになると見ている者もいた。スペイン最大手『マルカ』紙から派遣されてきたアルバロ・オルメド記者がその人だ。

「マドリーはヴィニシウス獲得のため、フラメンゴに対し4000万ユーロ(約50億円)を支払った。これと久保の場合とでは状況が全く違う。他には今夏、サントスからマドリーへの移籍が決まっているロドリゴ・ゴエスには、さらに4000万ユーロを費やしている。ロドリゴも1年目はカスティージャでプレーすることになると思うけれど、久保にとっては簡単ではない状況で、かなり厳しい立場に置かれる可能性もある。すぐにトップチームでプレーするのは難しいだろうね」

 オルメド記者は、久保の移籍について取引の詳細も踏まえて「簡単ではない」と分析する。すでに公式情報とした明かされているように、FC東京と久保の間で結ばれた契約は彼の18歳の誕生日である2019年6月4日まで。そのためマドリーは久保獲得に移籍金を支払う必要がなく、その分年俸は120万ユーロ(約1億5000万円)と比較的高額になったが、将来的なマーケティング面での価値も考慮すればリスクは小さいという。

 つまり高額な移籍金を支払ってまで獲得した選手は、将来的に売却するにしても市場価値を上げるために積極的に起用していくことが望ましく、ヴィニシウスはそういった背景もあって積極的にチャンスを与えられ、そこでしっかりと結果を残してさらに上のレベルへと駆け上がった。ロドリゴにも同様の扱いが求められる一方で、久保には結果を残すことへの要求は高くとも起用する側に制約は少ない。

 Bチームの選手としては「高額」と思われがちな年俸も、マドリーであれば異例とは言えないとオルメド記者は言う。「あのクラブはクレイジーだから、マドリーのカスティージャでも30万ユーロ(約3600万円)や50万ユーロ(約6000万円)を受け取っている選手は珍しくない」とのこと。確かに近年では先述のウーデゴーや、現在トップチームに在籍するマリアーノ・ディアス、レバンテにレンタル中のボルハ・マジョラルといった選手はかなり高額の給与を受け取っていることで知られていた。

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