久保建英の“スペースを見る眼”。日本代表が見つけた2列目の最適解と、親善試合では得難い経験【コパ・アメリカ/西部の目】

日本代表は現地時間24日、コパ・アメリカ2019(南米選手権)・グループリーグC組第3節でエクアドル代表と対戦し、1-1で引き分けた。決勝トーナメント進出を逃した日本代表だが、2列目で起用された三好康児、久保建英、中島翔哉はA代表でも見劣りしない可能性を感じさせた。(文・西部謙司)

2019年06月25日(Tue)14時39分配信

シリーズ:西部の目
text by 西部謙司 photo Getty Images
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新たな2列目のセット

0625japan_kubo_nakajima_miyoshi2列目で起用された中島翔哉(左)、久保建英(中央)、三好康児(右)【写真:Getty Images】

 勝てばグループリーグ突破、引き分け以下なら敗退。後半は攻め合いとなり、双方にチャンスがあったが決めきれずにドロー、共倒れの結果となった。

 日本は3戦目にして2列目のベストメンバーを探り当てている。初戦の2列目が前田大然、久保建英、中島翔哉。2戦目が三好康児、安部裕葵、中島。そしてエクアドル戦の三好、久保、中島。このセットはA代表の堂安律、南野拓実、中島にも見劣りしない。中島を触媒としてA代表をつなげるという意味では収穫があった。

 久保はより小さなスペースを見る眼がある。そこを生かすためのキックの精度、ボールを足下から離さないドリブルができる。スペースとタイミングを操れる点で希有な能力があり、攻撃力を一段階上げる可能性を示していた。三好は久保と似た才能があり、よりダイナミックなスプリントができる。攻守にアグレッシブに動ける安部は原口の後継者というイメージだが、A代表の2列目は層が厚くなった。

 チャンスは作れている。決定力の問題は残ったが、敵陣にボールを運べたときはコパ・アメリカでも十分やれていた。

流れを変えられない日本代表

 前半から形勢はほぼ互角。中島のゴールで先制したが、その後にハイクロスから同点に追いつかれた。失点自体はハイクロスに対して岩田智輝が被ってしまったことが原因だが、押し込まれる流れになっていたのはウルグアイ戦と同じ。流れを変えられない。

 流れを変えようとして自陣からパスをつなごうとはしていた。ところが、自陣でのミスを連発したことでかえってピンチを招いている。自陣深くで2度もパスをカットされた。押し込まれたときは、GKからパスをつないでいったん押し返し、流れを変える必要がある。

 ただ大きく蹴り返すだけでは、よほど強力なFWでもいなければカットされて攻められ続けるだけ。つなごうとしたこと自体は間違っていない。ただ、即興的につなげるだけのレベルにないことを露呈していた。

 ここはある程度パターン化できる部分なので、選手の判断を助けるためにも共有できる形を導入したほうがいいと思う。Jリーグなら大分トリニータ、横浜F・マリノスなどがそれぞれの形を持っている。森保一監督も広島を指揮していたので方法自体は熟知しているはずだ。

 エクアドルの攻撃は日本のビルドアップを狙うほかには、主に右(日本の左)からのハイクロスだけ。ファーサイドへ蹴って日本のサイドバックを狙っていた。右SB岩田は攻守に安定感を示していたし、左SBの杉岡大暉もフィジカルの強さで奮闘していたが、コパ・アメリカという舞台ではサイドバックが弱点になっていたかもしれない。

 後半からエクアドルが攻めに出てくるが、岡崎慎司を上田綺世に交代したあたりから日本が立て続けに決定機を作った。しかし、上田はペナルティーエリア内のシュートを決めきれず。上田については評価が分かれると思う。決定機をつかめる異能を買うか、チャンスを決めきれないことを批判するか。

 プロのストライカーは結果がすべてとはいえ、上田はまだプロではない。ボックス内でシュートが打てる選手はチームの得点源になる一方、そこでの決定率が低いとかなり悩ましい存在になってしまう。今回は決められなかった。だが、年齢も若く、これからズバズバ決めるようになれば堂々のエースになれる。

悔やまれる初戦の大敗

 81分、疲れてきた三好に代えて安部。さらに88分には板倉滉を前田に交代してアタッカー5人で攻める采配。勝たなければ敗退なのでリスクを負っても攻撃するのみ。間延びした攻め合いで双方にチャンスがあった。ロスタイムに中島のシュートのこぼれ球を久保が押し込んだがオフサイド。

 2戦目は良いプレーでウルグアイに引き分け、3戦目にしてベストメンバーを見出した。それだけにチリとの初戦の大敗が響いた。人選、戦い方ともに失敗していて、これについては森保監督の責任は重い。ブラジルと4試合目をやれなかったのは残念だが、久々のコパ・アメリカでもあり、ある意味順当な結果ともいえる。

 五輪代表に5人のオーバーエイジで臨んだ今大会は、ポイントをとれた2試合に関してはいい経験を積めた。東京五輪、A代表へつなげられる収穫があり、課題も浮き彫りになった。親善試合では得られない体験だったはず。多少無理をしても参加した意義は十分あった。

 今後の日本代表の強化にとって、コパ・アメリカへの継続的な参加は死活問題といっていいぐらい重要だと思う。日本、カタールの参加は現地メディアに批判もされたが、2つのドローで「招致に及ばない」という評価はとりあえず回避できたのではないか。

(文・西部謙司)

【了】

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