中島翔哉は「完璧な夜」の裏で…。本来の姿に戻ったポルト、攻撃陣大爆発で今季初勝利

ポルトガル1部のポルトに所属する日本代表MF中島翔哉にとって、苦境が続いている。現地17日に行われたリーグ第2節のセトゥーバル戦ではベンチスタートとなり、途中出場するまでに試合の大勢はほぼ決していた。なぜ監督からの信頼を掴みきれないのだろうか。(文:舩木渉)

2019年08月18日(Sun)11時55分配信

text by 舩木渉 photo Getty Images
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ポルト、大量4発でリーグ戦初勝利

ポルト
ルイス・ディアス、ゼ・ルイス、アレックス・テレス(左から)はポルトの欠かせない戦力になりつつある【写真:Getty Images】

 ついに本領発揮だ。現地17日に行われたポルトガル1部リーグの第2節で、ポルトの攻撃陣が大爆発した。最終的にはヴィトーリア・セトゥーバルを4-0で下し、今季初勝利を収めている。

 昇格組のジル・ヴィセンテとの開幕戦を1-2で落とし、ミッドウィークのチャンピオンズリーグ(CL)予選3回戦でもクラスノダールに敗れて本戦出場を逃したポルト。今夏退団していった主力たちの穴を埋めきれないまま、調子が上がらず苦しんでいた。

 ところがセトゥーバル戦は序盤から相手を圧倒し、開始11分で先制に成功する。文字通りの快勝をけん引したのは、FWゼ・ルイスだった。

 今夏スパルタク・モスクワから復帰したカーボヴェルデ代表のストライカーは右足を振り抜いた強烈なミドルシュートでポルトに先制点をもたらすと、20分と63分にもゴールを重ねてハットトリックを達成。

 2つ目と3つ目のゴールはいずれもヘディングシュートで決めている。高さも飛距離も抜群の2発で、図抜けた身体能力の高さを誇示した。

 この日のポルトは、これまで以上に攻撃的な姿勢を前面に押し出す戦いで主導権を握った。本来はウィングのヘスス・コロナを右サイドバックに起用することが、1つのメッセージになっていただろう。

 両サイドMFは中央に絞って2トップや2人のセントラルMFと近い距離で絡みながら、積極的に高いポジションを取る両サイドバックを活用する。サイドの幅をサイドバックで確保することによってセトゥーバルを押し込み続けることが狙いとなっていた。

 特に前半は左サイドのアレックス・テレスが、後半は右サイドのコロナが高い位置で攻撃に厚みをもたらし、ドリブル突破や高精度のクロス、さらにはロングスローやセットプレーでチャンスを量産していた。

 実際、ポルトの2点目は左サイドでアレックス・テレスの蹴ったフリーキックをペナルティエリア中央でDFぺぺが逸らし、ファーサイドに回っていたゼ・ルイスの豪快なヘディングシュートによって生まれた。さらに3点目はアレックス・テレスのコーナーキックにゼ・ルイスが打点の高いヘディングで合わせた形だ。

中島は途中出場だったが…

 守ってはGKアグスティン・マルチェシンが要所で好セーブを連発し、セトゥーバルの反撃をシャットアウト。最後は今夏の新戦力で、売り出し中のコロンビア代表MFルイス・ディアスも公式戦2試合連続となるゴールを決めて大勝に花を添えた。

 一方、中島翔哉にとっては手放しで喜ぶことのできない勝利かもしれない。この日もスタメンを外れたポルトの背番号10は、3点目が入って大勢が決した後の67分にMFロマーリオ・バローとの交代で右サイドMFの位置に入った。

 その直後に惜しいミドルシュートを放って本拠地エスタディオ・ド・ドラゴンに集まった観客を沸かせはしたものの、他のアタッカーたちが示したような明確な結果を残すことはできなかった。

 目立っていたのは守備に奔走する姿で、中島は全体の運動量が落ち始める中でも前線から積極的なチェイシングで相手ディフェンスやGKにプレッシャーをかけていた。攻撃面ではやはり右サイドの中央寄りのポジションは少し窮屈そうで、なかなか高い位置でボールを受けられないと、パスを引き出そうと下がっていってしまい、周囲の選手との距離感は遠いまま。有効な関係性を築けているとは言えないだろう。

 ポルトのセルジオ・コンセイソン監督はセトゥーバル戦に向けた記者会見の中で「(先発メンバーについては)直感は関係なく、私は直前の試合をベースにしているわけでもない。指標は他にあって、例えば日々の取り組みであったり、フィジカル的な基準、対戦相手を考えた戦術といったものだ」と述べた。

 つまり中島がスタメン起用されないのは、ただ監督に嫌われているからなどではない。論理的な理由が存在するはずなのだ。チキーニョ・ソアレスが決定機を外し続けてスタメンから漏れたように、あるいは昨季まで攻撃の核だったオターヴィオが十分な出場時間を得られていないように。

次節ベンフィカ戦で真価の証明を

中島翔哉
中島翔哉はポルトで定位置を獲得することができるだろうか【写真:Getty Images】

 いまはゼ・ルイスが好調で、ルイス・ディアスも絶対的な柱のアレックス・テレスと相性がよいなど先発している選手たちにも理由がある。そういう意味で、中島はまだ指揮官の期待に応えられておらず、戦術的な遂行力も示せていないということになるのだろう。

 両サイドバックのポジショニングを常に高く保つ攻撃的なアプローチは、格下クラブ相手であれば問題ないが、実力の拮抗する相手には弱点を晒すことになってしまう。次節の相手であるベンフィカには、また別の戦い方で挑まなければならないだろう。そこで中島が真価を証明できるか。

 ハットトリックを達成したゼ・ルイスはセトゥーバル戦を「完璧な夜だった」と振り返り、「僕たちとともにいてくれるサポーターがどれだけ素晴らしいかという試合だった。僕たちが答えとして示したのは、ともに戦い、強くあるということだ。この道を進んでいかなければならない。サポーターたちが僕らを後押ししてくれるのを見るのはスペクタクルだ」と喜びを爆発させた。

 そのうえで「後ろで何が起きたのかというのは、もう過去のことだ。僕たちは前を見なければならない。答えは今日の試合、そして僕たちがこれから続けていく自分たちの戦い方にある」と、開幕戦での敗戦やCL予選敗退から立ち直って前進していることを強調していた。

 まだ移籍市場は開いており、ポルトにも新戦力獲得や既存戦力放出の噂がある。ブラジルのフルミネンセでプレーしているコロンビア人ウィンガー、ジョニー・ゴンザレス加入が『レコルド』などで報じられている。

 またエースストライカーのマリ代表FWムサ・マレガにはミランやナポリからの関心が伝えられており、いつ移籍が決まってもおかしくない状況となっている。そうやって刻々と変化するチーム状況の中でも、ブレずに目の前の戦いに集中して結果を残していくことが背番号10にとって最も重要になる。次は王者ベンフィカ戦。中島は、前進あるのみだ。

(文:舩木渉)

【了】

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