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長谷部誠が感じた「自分たちのメンタリティ」。再び欧州への切符を掴んだフランクフルトに流れる「絶対的な自信」

ヨーロッパリーグ(EL)プレーオフ2ndレグ、フランクフルト対ストラスブールの試合が現地時間29日に行われた。3-0で勝利を収めたフランクフルトはEL本戦への出場権を獲得。この試合にフル出場した長谷部誠は「我慢しなければいけないゲーム」と話したが、フランクフルトは試合を終始圧倒。昨季に続いて欧州の舞台への切符を掴んだ。(取材・文:本田千尋【フランクフルト】)

text by 本田千尋 photo by Getty Images

2点以上とらなければいけないフランクフルト

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ストラスブール戦にフル出場した長谷部誠【写真:Getty Images】

 勝つべくして勝ったようだ。8月29日に行われたヨーロッパリーグ(EL)のプレーオフ第2戦。アイントラハト・フランクフルトはホームにRCストラスブールを迎えた。コメルツバンク・アレナは、今季早くも最高潮の盛り上がりを見せた。アイントラハトを愛すする者たちは、力の限り声を振り絞った。なぜか。1週間前に敵地で行われた第1戦を0-1で落としていたため、プレーオフを突破してELの本戦に出場するには、少なくとも2ゴールを奪って逆転する必要があったのだ。

 試合後、長谷部誠は次のように振り返った。

「1戦目の結果が0-1でアウェーゴール取れなかったので、今日はもちろん2点以上取らなければいけないし、後ろは1点取られたら、3点取らなきゃいけないし、という非常に我慢しなければいけないゲームでした」

 「2点以上取らなければいけない」——。試合が始まると、猛然とハイプレスを慣行するフランクフルト。前半を通して、ストラスブールをプレッシングの渦に巻き込んだ。長谷部は、敵は「スタジアムの雰囲気に呑まれている」と感じたという。コメルツバンク・アレナのヨーロッパの舞台に焦がれる灼熱の空気。ストラスブールの選手たちを圧倒し、第1戦のようなプレーをさせなかった。それだけでなく、フランクフルトの選手たちに「絶対的な自信」を与えたようだ。

「絶対的な自信」

 鎌田大地は「僕たちはホームでやれて、サポーターの雰囲気もすごくて、ホームでは絶対的な自信があった」と言う。よって、1点目が入るまで27分の時間を要したが、その間に焦りは全く無かったそうだ。

 鎌田が試合を振り返る。

「1点取ることが出来れば絶対勝てるだろうと思っていましたし。別にそこまで焦らずに、最初の1分から全力でやろうと言っていた。最初の1分から体力を使い果たすつもりでみんなやっていたと思います。焦りはなくて、いつか1点入るだろうな、という感覚でした」

 27分、左サイドからレビッチがゴール前にボールを送る。DFミトロヴィッチに当たってオウンゴール。「1点取ることが出来れば絶対勝てるだろう」。その鎌田の言葉を踏まえれば、フランクフルトが1点目を取った時点で、勝負はあったのかもしれない。

 それから44分に、アンテ・レビッチがレッドカードを貰って退場。それでもフランクフルトの選手たちのメンタル面に、特に影響はなかったようだ。

 鎌田が言う。

「僕たちの感覚では、今日は10人でも勝つことができていたという感覚があると思います。相手が1人退場しましたけど、相手があのまま11人でやっていたとしても今日の試合は圧倒できていたと思うし。1人退場したからって焦りはなくて、普通にみんな勝てると思っていたと思うので。今日はすごく圧倒できていたかなと思います」

「今季一番大事な試合」でもたらされた欧州への切符

 55分には敵の11番ディミトリ・リナウドが一発レッドで退場する。60分にフィリップ・コスティッチが直接FKを決めてリードを広げると、66分には左サイドで仕掛けた鎌田の折り返しを、ダニー・ダ・コスタがきっちり決める。こうしてストラスブール戦は、終わってみれば3-0。得点0に終わった第1戦が幻だったかのように、フランクフルトは第2戦で攻撃力を爆発させた。そして、EL本戦への出場を決めた。

 長谷部は「こういうプレッシャーのかかる試合で結果を出せたのは本当に大きかった」と言う。

「去年ベスト4に行って、ベスト4でも最後チェルシー相手にPK戦で、という、あの旅路というか、あれは本当にこのクラブにとっては非常に大きかったし、またもう一度あの舞台に、チームもそうだし、ファンも立ちたいと思っている。その強い気持ちを感じていましたし。今日の試合はチームメートも言っていましたけど、今季一番大事な試合だって言っていたくらいだったので。そういう中で、自分たちのメンタリティとか、そういうものは示せたと思う」

 フランクフルトのヨーロッパを巡る「旅路」が、再び始まった。

(取材・文:本田千尋【フランクフルト】)

【了】

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