浦和レッズはなぜ失点を重ねてしまうのか。「なかなか踏ん張れない状況」が続く、最大の理由とは

明治安田生命J1リーグ第25節、湘南ベルマーレ対浦和レッズが1日に行われ、1-1の引き分けに終わった。浦和は前半3分にFW興梠慎三が、J1史上最長の8年連続2桁得点となる先制点を決めるも、その後は湘南に主導権を握られる展開。必死の守りでしのいでいたが、試合終了間際にPKを与えて失点し、勝ち点3を逃した。これでリーグ戦では8試合連続失点。最後の15分での失点は3試合連続、残り25分からで見ると、ここ8戦の全14失点中8失点が集中し、試合終盤のもろさが目立つ。その理由とは。(取材・文:下河原基弘)

2019年09月04日(Wed)11時14分配信

シリーズ:週刊Jリーグ通信
text by 下河原基弘 photo Getty Images
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試合終了目前で消えた勝ち点3

浦和レッズ
1日に行われた湘南戦を1-1で終えた浦和レッズ。これでリーグ戦では8試合連続失点【写真:Getty Images】

 耐えた。耐えに耐えた。全員が自陣に戻り、体を張って守備をする浦和レッズの選手たち。疲労困憊なのは明らかだったが、それでもゴールラインだけは割らせず、湘南ベルマーレの猛攻を防ぎ続けた。勝ち点3は目前まで来ていたが、最後に悪夢が待っていた。

 1-0の後半43分、リードしている浦和の自陣深くからの湘南のスローイン。FW山崎凌吾がペナルティーエリア内で受け、その脇を抜けて走りこんだMF梅崎司にボールがわたる。遅れて守備に入った浦和MFエヴェルトンが相手を倒してしまうとPKが宣告された。それを同45分に、梅崎にきっちり決められて1-1のドロー。7月20日・ジュビロ磐田戦以来、6試合ぶりの白星は夢と消えた。

「(ACLの)アウェイから帰ってきて、湘南とのアウェイ。非常にタフなチームとやるところで、選手はよく頑張ってくれていました。最後PKを取られてしまって、失点のところは残念でしたけど、今日は気持ちは入っていた。気持ちはいつも入っているんですけど。良い準備をしていたが、勝点3につなげられなくて申し訳ないです」と大槻毅監督は残念そうに話した。

 最高の立ち上がりだった。前半3分にMF橋岡大樹からのパスを受けたFW武藤雄樹が、丁寧にゴール前に送ると、走りこんだFW興梠慎三が冷静に決めて先制。これで勢いに乗るかと思ったが、その後は時間とともに湘南に押し込まれる度合いが増えていった。

 それでも、さすが百戦錬磨の選手がそろう浦和。「監督からも話があって、今日は入りの15分、そこからの15分、最後の15分と、15分刻みで意識しながらやった。槙野選手たちともコミュニケーションを取り、戦い方を整理しながら前半はうまく割り切ってやりました」とGK西川周作も話すように無失点で切り抜けた。

「すごいストレスを感じています」(岩波)

岩波拓也
「DFとして責任を感じています」。DF岩波拓也はそう話す【写真:Getty Images】

 だが、後半も同じような戦いが続く。湘南にボールを握られると、浦和イレブンは自陣に押し込まれていった。ボールを奪っても、湘南の速い寄せに苦しみボールをつなげられない。敵陣でボールを回す場面が来ても攻めあぐね、逆に速攻を許してピンチを招く姿が散見された。そして試合終了間際、スローインからのプレーでPKを奪われて引き分けという結末になった。

 これでリーグ戦は8試合連続失点。指揮官は「ACLも含めて、ここ2試合でPKを3つ取られましたけど、その他の失点で言うと1つに偏りが見られているわけではないように分析しています。色々な要素に対してトレーニングからやっていますが、ちょっとした1つの寄せだったり、時間帯とか、そういったものの要素の方が強いかなと思っています」と理由を語った。

「すごいストレスを感じています。なかなか踏ん張れない状況で、今日もそうですけど(前節の)松本(山雅)の試合でも勝たないといけないような試合を落としてしまうのはもったいないし、そういう意味ではDFとして責任を感じています」と肩を落としたのはDF岩波拓也。

 試合を振り返り、「前半からペナルティーエリアの中であやしいような、ファウルかファウルじゃないかのようなプレーが2、3回あったので、ハーフタイムで後半PK取られやすくなるからと言っていたんですけど。あそこで簡単に足を出す必要もなかったですし、あの時間帯で0-1という局面で、審判も(笛を)吹いてしまう状況なのかなとは思うし、スローインからだったので、本当にもったいない勝ち点1になってしまいました」と話した。

なぜ耐えきれないのか

「残り本当数分のところだったので悔しいですけど、自分たちのスキがあったと思います」とMF長澤和輝も語るように、大槻監督の言う時間帯という面での意識の欠如が失点につながってしまったとも言える。15分ごとに区切ってまで試合を進めていたのに、最後に崩れてしまったのは悔やまれる結果だ。

 また、自ら首を絞めるようなプレーも計算を狂わせていった。「相手の狙いはサイドからのクロスとセットプレー。少しこっちが冷静さを欠いた中で、無駄なファウルというのが非常に多かったかなと。

 コーナーも合わせても、相手の方がずっとセットプレー多かったと思うので、そういった中で最後の最後でペナルティーを与えてしまった。あれは、チームとしてもう少し冷静に守らないといけない状況だったと思います」と西川は苦言を呈した。

 では、なぜ最後の時間帯で、このようになってしまうのか。岩波は「最後、少し動けなくなっているときにバランスが崩れているので、遅れて遅れてみんな飛び込んでいってファウルになったり」と話す。

「後ろからラインも上げていかないといけないですし、1人1人がポジションをもう少し早く取らないと。少しずつさぼっていてスペースを空けているので。その辺はあれだけ押し込まれる展開なので、少し動けなくなっていくのかなとは思っていますけど」と苦しい現状を吐露した。

結果が出ず、相手に与える勇気

 疲れが見えてくる時間帯。身体的なスタミナが切れてポジショニングなどでも後手を踏み、合わせて精神的なスタミナも切れて細かい判断や我慢ができなくなる苦しさが透けて見える。

 この試合を見る限りではボールを落ち着かせてタメを作り、試合をコントロールする司令塔タイプの選手が、あまり見当たらないので難しい部分もあるが、自分たちの流れや時間を、もう少し多く作っていき、試合中でも心身ともにリカバリーさせられる状況を得ることも必要になるかも知れない。

 また失点が続くことが、さらに状況を難しくしている部分もある。湘南MF齊藤未月は「相手は1点先制しましたけど、この前もその後に2点を取られているので。いつ失点するか分からない状況でプレーしていたと思うので、1点取れれば逆転するチャンスがあるなと思っていました」と話す。

 結果が出ないことで、浦和がリードして終盤を迎えていても対戦相手にまだいけるのではという、勇気を与えてしまっている側面もあるのだろう。この流れを断ち切るためにも、クリーンシートが是が非でも欲しいところだ。

 リーグに加えて、ACL、ルヴァンカップ、そして天皇杯も残す浦和。どの大会に注力していくかとともに、過密日程も避けられず、難しいかじ取りが予想される。

 ただリーグで言えば現在11位、降格の可能性がある16位・サガン鳥栖との勝ち点差はわずか4しかない。アジアの頂点を取れる可能性があるチームが、J2落ちの可能性もあるという難局の中、どう戦い、結果を残していくか注目だ。

(取材・文:下河原基弘)

【了】

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