久保建英のボランチ起用も一案。日本代表の深刻化する柴崎依存、格下相手に見せたい起用の幅

日本代表は10日、2022年カタールワールドカップ・アジア2次予選の第2戦でモンゴル代表と対戦する。格下相手を相手に森保一監督が選んだメンバーは、1ヶ月前から2名の変更を加えたのみ。選手固定による弊害の懸念が叫ばれる中、特に深刻なのは、中盤の底で舵を取る柴崎岳への依存かも知れない。(取材・文:元川悦子)

2019年10月10日(Thu)10時20分配信

text by 元川悦子 photo Getty Images
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柴崎岳への依存

柴崎岳
日本代表の柴崎岳【写真:Getty Images】

 9月からスタートした2022年カタールワールドカップ・アジア2次予選。その第2戦となるモンゴル戦がいよいよ今日10日に行われる。「モンゴルのストロングポイントはフィジカルの強さ。タフに戦ってくる印象を受けている」と森保一監督も前日会見で警戒心を露わにしており、今回もミャンマー戦同様、周囲が期待するような楽勝というわけにはいかないかもしれない。

 ただ、今回の2連戦を考えると、移動を伴う中4日で迎える15日の次戦・タジキスタン戦の方が難しい戦いが想定されるのは事実。タジキスタンが9月2連戦で勝ち点6を挙げているうえ、10日に試合がなく、入念な準備をして日本を迎え撃てる優位性もあるだけに、より慎重に準備を進めなければならない。

 9月シリーズと同じく2試合のスタメンを変えずに戦うのは、選手のコンディションやモチベーションを考えてもいいことではない。今回のモンゴル戦は主力を何人か温存することも視野に入れた方が得策だろう。

 こうした中、特に注視しなければならないのがボランチの動向だ。森保ジャパン発足後はご存じの通り、柴崎岳がつねに軸を担い続けてきた。2018年ロシアワールドカップ16強の立役者の1人であり、非凡なパスセンスを備えた彼に対する指揮官の信頼は絶大だ。6月のコパ・アメリカでも連日2人が長い時間、話し込むほどコミュニケーションも密に取っている。

 現役時代ボランチだった森保監督にしてみれば、柴崎のような天才的なタイプは尊敬に値するのかもしれないが、彼だけに頼っていたらイザという時に困るのは明らかだ。今の日本代表は大迫勇也の不在が最大の懸案事項になっているが、実は柴崎依存のボランチもそれと同レベルくらいの深刻度だと言っていいのではないか。

頭角を現した橋本拳人

 だからといって、森保監督が公式戦でいきなり柴崎を外すとは考えにくい。今回もスタメン起用は確実だろう。その前提でやはり注目すべきなのが、コンビを組むもう1人のボランチの一挙手一投足。柴崎の負担を軽減するためにも、相棒役がより強いリーダーシップをピッチ上で示す必要があるのだ。

 国際経験に秀でる遠藤航と板倉滉も十分なポテンシャルはあるが、目下の遠藤は今季公式戦出場ゼロ。板倉はDFでのプレーが中心となっている。その現状を踏まえるとやはり今回も橋本拳人の出場が有力だ。それだけの説得力あるパフォーマンスを最近の彼はFC東京で見せている。

「ミャンマー戦で引いた相手にどういうプレーができるのかがアジア予選のポイントだと思ったし、そこはチームに帰ってからも意識して取り組んできました。自分は柴崎選手みたいなスルーパスはなかなか出せないですけど、そこにチャレンジしていきたいし、攻撃で1段階上のプレーを意識してやっていきたい」と橋本もかつてないほどの気迫を強く押し出した。

 3月のボリビア戦でデビューした頃はまだ「新参者」という意識が強かったのだろうが、ここまで4試合に出場し、2次予選の舞台も踏んだことで、主力に近づいたという自覚も高まった様子だ。この勢いで彼がモンゴル戦でより存在感を引き上げることができれば、新たなボランチの軸が確立されるかもしれない。そうなれば、「脱・柴崎」への希望も少なからず見えてくる。

闘争心を燃やす遠藤航

 もちろん遠藤や板倉も黙っているつもりはないだろう。とりわけ遠藤は、森保ジャパン発足時から柴崎のベストパートナーと位置付けられ、1月のアジアカップでも主力として戦った経験があるだけに、ここで足踏みしていられないという思いは強い。

「ミャンマー戦では基本的に拳人がちょっと後ろ目で岳がゲームを作るイメージでしたけど、拳人もつぶしのところだけじゃなくて、タテに入れる攻撃の部分もすごくよくなっていた。そういう意味では刺激を受けてます」と遠藤も闘争心を燃やしていた。

 彼もまた昨季プレーしたシント=トロイデンではパス出しやゲームメーク力を格段にアップさせ、代表で発揮していた時期があった。かつての鋭い感覚を取り戻せれば、軸の一角に加わる可能性も大いにある。

 板倉も含め、全員が攻守両面の仕事を確実にこなせる状態が日本代表にとって理想的。その布石を打つべく、森保監督にはモンゴル戦で柴崎を使う時間を制限することも視野に入れてほしい。

久保建英の起用も一案

 時間帯や状況にもよるが、万能型MF久保建英をボランチに持ってくるといった大胆オプションも考えていい。「今の自分はどんどん吸収してく段階だと思うので、どこでもできるよっていうのを1つのウリにしていければいいかなと思います」と本人もあらゆるポジションに意欲を持ってトライしようとしている。

 インテンシティの高い試合の頭からは難しいかもしれないが、相手の運動量が落ち、スペースが空いてきた時間帯なら、彼の攻撃センスや局面打開力を存分に生かせるはずだ。試合の流れをガラリと変えたり、変化のある攻めを講じたい時は、意外性のあるオプションを使うのも一案だ。

 手堅い森保監督は見る者を驚かせるような采配を滅多にしない傾向が強い。が、公式戦でトライしてこそ、本物の成果につながることは多い。

 ハリルホジッチ監督時代も長谷部誠という絶対的存在が離脱した際、遠藤と山口蛍、あるいは遠藤と井手口陽介というデュエルに強いボランチをダブルで使うサプライズがあったが、彼らはそれで自信をつけ、重要局面で結果を出した。そういう前例を踏まえて、モンゴル戦では柴崎に頼りすぎない中盤の関係性を見出していってほしいものだ。

(取材・文:元川悦子)

【了】

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