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Jリーグ 4年前

マリノスFWマルコス・ジュニオールが人気者である理由。「一緒に楽しみたい」。そして…【インタビュー・後編】

“横浜のクリリン”ことマルコス・ジュニオールは瞬く間にJリーグに順応し、横浜界隈ではカルト的な人気を誇る。ただ、左腕に光るクリリンのポップなタトゥーとは裏腹に、なかなかどうしてコクのある人生を辿ってきた。“地球人最強の男”が横浜に降り立つまでの濃密な物語を振り返った、11/6発売の「フットボール批評issue26」のマルコス・ジュニオール選手のインタビューから一部を抜粋して前後編で先行公開する。今回は後編。(取材・文:舩木渉)

text by 舩木渉 photo by Raita Yamamoto

「まずは楽しむ気持ちがないと、美しいサッカーは見せられない」

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横浜F・マリノスのFWマルコス・ジュニオール【写真:山本雷太】

 F・マリノスのキーマンとなり、今シーズンはJ1得点王も視野に入る。マルコスは自分がサッカーを楽しむだけでなく、見ている人たちも楽しんでもらうことが重要だと考えている。それが今のゴールパフォーマンスにつながっていると彼は言う。

「サッカーで一番難しいのはゴールを決めることで、一番美しい瞬間もゴールなんだ。選手によってはゴールを決めたらすぐに戻って喜びもそれほど表さないけど、僕はその瞬間をサポーターと一緒に楽しみたい。ゴールを決めれば僕も嬉しいし、サポーターにも喜んでほしくて、みんなで喜べたらなと思ってパフォーマンスをしているんだよ」

 マルコスのサッカー人生には様々な出会いがあり、多くの人に助けられてきた。サッカーの楽しさとともに常に全力を尽くすことの重要性を教えてくれた叔父のアレッサンドロ、プロ選手として生き残るための術を授けてくれた恩師のマルセロ、苦しい時も常に寄り添ってくれた妻のダイアネ、これまで一緒に戦って競争してきたチームメイトたち、日本で出会ったF・マリノスの仲間たち……。

 そういった数々の出会いから手に入れたたくさんの宝物を両腕いっぱいに抱えて、マルコスは心の底からサッカーを楽しんでいる。そしてF・マリノスで目指すのは、サッカーを楽しみながらも勝利にこだわり、頂点に立つことだ。

「ゴールを決める、ラストパスを出す、そういう攻撃的なことを考えて、どんな形でもチームに貢献したい。優勝できるように頑張りたいし、それが今年の目標でもある。サッカー選手というのは未来がどうなるかわからないので、毎年を大事に考えていきたい。そのためには毎日を大事にすること。

『1日1日、ライオンを殺さないといけない』……ブラジルではそういう表現をするんだ。でも、まずは楽しむ気持ちがないと、美しいサッカーは見せられない。それが大事」

“ラランジェイラのクリリン”から“ハマのクリリン”になったマルコスは、これからも全力前進でゴールに向かって走り続ける。最後には待ち望んだ瞬間がやってくると信じて。

(取材・文:舩木渉)

マルコス・ジュニオール

1993年生まれ、ブラジリア連邦直轄区ガマ出身。フルミネンセユースを経て、2012 年にフルミネンセのトップチームに昇格し、プロデビュー。2019年に横浜F・マリノスへ移籍し、トップ下のレギュラーに定着。2019 年シーズンはリーグ戦13得点( 2019 年10月3日現在)をマークし、得点王争いのトップタイに君臨している。

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issue26では中毒性の高い“面白いフットボール”の正体を暴く。
「勝利に優る面白さなどない」と謳われてしまえばそこで話は終了する。
フットボールがここまで繁栄したのは、合法的にキメられる要素がその内容にあるからではあるまいか?
Jリーグウォッチャーであれば現在、横浜F・マリノスが快楽的なフットボールを求道しているのはお分かりであろう。では、“面白いフットボール”を披露する境地とはいったい何なのか? 選手、コーチの目線を通して“ポステコ病”の全貌に迫る。

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【了】

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