マリノスとマンCの戦術はどう違うのか? 鍵は偽SB。似ているようで似ていない“兄弟”の違い【戦術鳥瞰・前編】

アンジェ・ポステコグルー監督率いる横浜F・マリノスがJリーグで魅力的なフットボールを披露している。“同グループ”ペップ・グアルディオラ監督率いるマンチェスター・シティを彷彿とさせる攻撃のメカニズムはどのような選手の配置で展開されているのか? 人気戦術分析ブログ『~鳥の眼~』の筆者とんとんが鳥のように上空から俯瞰し、戦術的観点から両者の“面白いフットボールの正体”を解明した11/6発売の「フットボール批評issue26」から一部を抜粋して前後編で先行公開する。今回は前編。(文:とんとん)

2019年11月05日(Tue)10時00分配信

text by とんとん photo Getty Images
Tags: , , , , , , ,

ペップと一線を画すポステコグルーの偽SBへの高い依存度

1105Pep_Ange_getty
横浜F・マリノスのアンジェ・ポステコグルー監督(左)とマンチェスター・シティのペップ・グアルディオラ監督(右)【写真:Getty Images】

 偽SBに特徴を持つ両チームが相まみえたのが今年の7月27日、日産スタジアムで行われたユーロジャパンカップだ。試合前の会見でペップは「シティとF・マリノスは似た哲学を持っている。両チームともにボールを持って攻撃するプレーを好む。そして得点を望んでいる。その実現こそが、フットボールの素晴らしさだ」と語った。

 この試合でシティが偽SBを活用するシーンはそれほど多くなかった。その代わりに見せたのが、横幅を大きく使った攻撃だ。

 ペップはバルセロナ時代から一貫して、WGに広く張ったポジションを取らせることが多い。敵の守備ブロックを横に広げることで空くギャップを突くためだ。

 バイエルン・ミュンヘンの監督に就任してからはWGの突破力やクロス、レヴァンドフスキの得点能力を活かすために偽SBを披露。シティではその偽SBを活かしてさらに敵の守備陣を縦に間延びさせつつ、チャンネル(“チャンネル”とは相手CBとSBの間にあるスペースのことを指す。そのスペースにインサイドハーフなどが入り込んでゴールを襲う)を攻略する段階まで進化させた。

 彼の強みは敵、味方、試合の状況に応じて采配を変化させることができる点にもある。偽SBを行わせる必要がなければ無理にその策を取らず、最終目標である勝利のための最善策をとる。

 対してポステコグルーは偽SBへの依存度が高い。

 オーストラリア代表監督時代、優勝を飾った2015年アジアカップではアンカーを置く4-3-3、Jリーグ入り直前までは3バックを採用していた。しかしどちらもボール保持の意識は高いものの、ポジションチェンジによる揺さぶりはほとんど見られなかった。

 ボールを受けたWGが、オーバーラップを仕掛けるSBへと繋いでクロスを上げるという攻撃に終始するものの、リスクをかけない攻撃であるためカウンターを受けても人数がそろっているという、今とは正反対のサッカーを展開していたのだ。

(文:とんとん)

footballcritique26

『フットボール批評issue26』

定価:本体1500円+税

issue26では中毒性の高い“面白いフットボール”の正体を暴く。
「勝利に優る面白さなどない」と謳われてしまえばそこで話は終了する。
フットボールがここまで繁栄したのは、合法的にキメられる要素がその内容にあるからではあるまいか?
Jリーグウォッチャーであれば現在、横浜F・マリノスが快楽的なフットボールを求道しているのはお分かりであろう。では、“面白いフットボール”を披露する境地とはいったい何なのか? 選手、コーチの目線を通して“ポステコ病”の全貌に迫る。

詳細はこちらから

新着記事

↑top