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リバプール戦、伊東純也は目立った活躍は出来ずも…。世界最高CBファン・ダイクとの対峙で得たものは?

UEFAチャンピオンズリーグのグループE第4節、リバプール対ゲンクの一戦が現地時間5日に行われた一戦はホームチームが2-1で勝利した。リバプールは直近のリーグ戦からスタメン6人を入れ替え臨んだ試合でシュート本数28本を放ち主導権を握り続けるも、2得点に留まった。(文:松井悠眞)

text by 松井悠眞 photo by Getty Images

6人を入れ替えたリバプール

伊東

ゲンクに所属するFW伊東純也【写真:Getty Images】

 ゲンクをホームに迎えたリバプールは中2日という日程と週末に首位攻防戦となるマンチェスター・シティー戦のことを考慮して、前回のリーグ戦、アストン・ビラ戦から6人を入れ替えて挑んだ。そしてリバプールは怪我人を出さずにこの試合に勝って首位攻防戦へ挑むという理想の形を作ることに成功した。

 なおこの試合ではFWロベルト・フィルミーノ、サディオ・マネ、DFアンドリュー・ロバートソンの主力らはベンチスタートとなり、代わりにFWティボック・オリギ、アレックス・チェンバレンが前線に並び、ジェームズ・ミルナーがLSBに入る形となった。

FW:ティボック・オリギ、アレックス・チェンバレン、モハメド・サラー
MF:ナビ・ケイタ、ファビーニョ、ジョルジニオ・ヴァイナルダム
DF:ジェームズ・ミルナー、フィルジル・ファン・ダイク、ジョー・ゴメス、トレント・アレクサンダー=アーノルド

 試合の主導権を終始握ったのは、やはりリバプールであった。6人を入れ替えてもプレーの質が落ちることはなく、90分を通して力の差を見せつけた。

 試合が動いたのは前半13分という早い時間帯だった。左サイドからミルナーがクロスを上げると相手DFセバスティアン・デワーストに当たったボールをヴァイナルダムが押し込んで先制点を奪った。

 そこからは決定期を作るも追加点を奪えずに試合が進むと、39分にゲンクに同点ゴールを許す。左コーナーキックからニアサイドでFWムブワナ・サマタが上手く合わせてゴールを奪った。

 後半に入っても試合の主導権が変わることはなく、またも後半開始早々にリバプールがゴールネットを揺らす。サラーのパスを中央やや左寄りで受けたチェンバレンが反転から左足一閃。鋭いシュートで追加点を奪った。

 このままスコアが動くことはなく2-1でホームチームのリバプールが勝利した。これによりナポリ対ザルツブルクが引き分けたためリバプールが単独首位に立ち、ゲンクは依然最下位のままとなった。

前線は火力不足か

 リバプールはリーグ戦で負けなしで首位を走っているが、決して順調に進んでいるわけではない。昨季リーグ戦で89得点を奪った前線はやや影を潜めており「辛うじてゴールを奪い勝てた」という試合が目立っている。

 この試合、データサイト『Who Scored.com』によるとシュート本数はリバプールが28:6と圧倒しているものの、枠内シュートは8:3、枠外シュートは9:3となっている。決定期を多く作ってはいたが、得点を奪えずにいるのは今シーズンのリバプールによく見られている。

 またこの試合は相手がブロックを形成したこともあって、リバプールのシュート28本のうち11本がブロックにあっているというデータも同サイトでは出ている。前線の火力不足は否めないだろう。

 火力不足の前線とはいえ、攻撃の歯車が合っておらずに無理にシュートを打っているというわけでは無い。相手のブロックを個人技や連係で崩しているが、最後のフィニッシュの部分で精彩を欠いている。これからクラブワールドカップも戦っていかないといけないため、これから先さらに過密日程になっていくリバプールとしては早い段階でこの悩みを解消したいところだろう。

チーム格差を感じるも収穫はあったゲンク

 一方のゲンクにとっては結果と内容共に厳しいものとなった。

 ゲンクは伊東を2トップに置き、彼の長所のスピードを活かしたカウンターという戦術を採用し、リバプールのLSBがスピードでやや物足りなさを感じるミルナーということもあり、そのサイドを中心に伊東が裏を取ろうと動くもパスが供給された場面は少なかった。

 ゲンクが思うようにカウンターに移行出来なかった原因は、リバプールのDFラインが常に高い位置で、陣形をコンパクトに保ったためだ。それにより中盤で圧力をかけられてしまい、ゲンクは思うように伊東の裏を狙うことが出来なかった。また、何とか伊東の裏にスルーパスを出してもオフサイドになるなど、リバプールのディフェンスに苦しんだ。

 一方的な試合ではあったが、それでも収穫が無かったわけではない。押し込まれる展開が続いた中でワンチャンスをものに出来たというのはチームにとって自信に繋がったはずだ。また同点ゴールを決めて以降はカウンターのみだった攻撃に幅が出るようになり、サイドから崩していくことが出来るようになった。また、伊東も目立った活躍は出来なかったにせよ、世界最高峰のCBファン・ダイクを前にしても屈することなく裏を狙い続けたことにより何かを感じ取れたはずだ。

 伊東にとってもチームにとっても「格差」を感じる試合にはなったが、それでも世界最高峰の大会をアンフィルードで得た「自信」は成長の糧になる。この経験を活かしてどのように伊東が成長して、またチームが強くなっていくだろうか。

(文:松井悠眞)

【了】

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