日本代表、中島翔哉の投入は混乱引き起こす。中田英寿、香川真司から続く問題は答えが出ぬまま【西部の目】

日本代表は14日、2022年カタールワールドカップ・アジア2次予選の第4節でキルギス代表と敵地で対戦。2-0の勝利を収め、同予選4連勝でグループ首位を独走している。MF中島翔哉は2点リードの後半途中に投入。自由奔放に動くエースの扱いを、日本代表は考えなければいけない。(文:西部謙司)

2019年11月15日(Fri)9時12分配信

シリーズ:西部の目
text by 西部謙司 photo Getty Images
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変わりようがない試合内容

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日本代表の中島翔哉【写真:Getty Images】

 南野拓実のPKと原口元気のFKで2-0。予選は勝ち抜ければそれでいい。ところどころ芝生が禿げているなど、難しい環境のアウェイでの勝利に文句はない。

 ただし、内容は相変わらずだった。というより、集まってすぐ試合を繰り返すだけの2次予選では何か新しいことをつけ加えるのは難しいうえに、起用するメンバーもほとんど変化がないのだから変わりようがない。

 キルギス戦ではCBに植田直通、FWに永井謙佑が先発した。いつもは中島翔哉がいる左サイドハーフは原口でスタートしている。ただ、彼らにしても代表の常連だ。

 代表チームの作り方として、ベースを固めておくのは定石といっていい。いちいちオーダーメイドで組み直すのは時間の無駄だ。しかし、ある程度ベースができているなら、新しい戦力を入れないと変化は出ない。チーム全体で新しいことに着手する時間がないのだから、人でしか変化はつかないわけだ。キルギス戦の先発メンバーに若干の変化はあったものの、チームとして変化が起きるほどではなかった。

 キルギスはテクニックに優れた選手が何人かいて、長友佑都の外への大きなサイドチェンジで攻撃を仕掛け、いくつかのチャンスを作っていた。41分に南野のPKで先制したが、五分に近い流れになっていた。

 不安定なフィールドのために双方ともロングボールが多くなる中、裏へ走ってポイントを作れる永井のスピードは効いていた。ドリブルを多用する中島よりも原口のほうが試合運びの点では安全なので、相手と状況を見ての先発メンバーは妥当だったと思う。日本は慎重にプレーしていた。

中盤ががら空き

 ちょっと心配になったのは32分の守備だ。日本の右サイドでアリクロフが鋭い切り返しで遠藤航をかわしてペナルティーエリア内へ食い込んでプルバック、サギンバエフのシュートを権田修一がファインプレーで防いだが、これは1点ものだった。

 問題はアリクロフにパスが出る前だ。キルギスがこぼれ球を拾ってカウンターアタックに出たとき、日本は5人がボールの後方に置いて行かれていた。遠藤は前に出ていた酒井宏樹のポジションをカバーしてディフェンスラインに入っていて、中盤には柴崎岳しかいなかった。その柴崎もサイドへ釣り出されて中央がまる空き。そこから左へ展開されている。置いて行かれた5人全員が帰陣するのは無理としても、何人かはもっと速く切り替えて帰陣すべきだった。後方の人数は揃っていたが中盤があまりにも薄い、それにしては反応が鈍かった。

 後半にもう1度、今度は右サイドでアリクロフにかわされてからサイドへ、そこからえぐられ、ムルザエフに反転シュートを食らったのも危なかった。長友が背中をとられてボールを見失っていた。

 遠藤と柴崎が危機察知能力を発揮してピンチを未然に防いでいて、全体には高い集中力で守っていただけに、ときおり集中力が途切れたように穴が空くのは気がかりだった。

ポジションを逸脱するエースをどうカバーするか

 選手交代は遠藤に代えて山口蛍、伊東から中島、最後に永井に代えて鈴木武蔵。疲労するので交代は当然としても、よくわからなかったのが中島の投入だった。2-0でリードしていて残り時間15分ほど、試合を終わらせる交代カードとして中島は不向きだと思う。攻撃を活性化させる力はあるがリスクも伴う。自由に動く中島をあの時間帯に投入するのは混乱を引き起こしかねない。

 自由奔放な中島をどう使うかは、まだ回答が出ていない。2次予選でそれが問題になることはないかもしれないが、強豪との対戦では穴が空く可能性が高い。中島の自由を保障して他の選手が補うシステムにするのか、あるいは中島の動きを制限するのか。それとも先発起用を避けるのか。

 もちろん現時点で答えを出す必要はない。決断するまでに時間は十分あり、逆に何かを決めて落とし込むには今は時間が足りないからだ。ただ、あの状況と時間帯で中島が出てきた違和感から改めてこの件を思い出した。

 日本代表の過去を振り返ると、ポジションを逸脱していく攻撃のエースは常にいた。ラモス瑠偉、中田英寿、香川真司がそうだった。その都度、周囲がカバーしていたわけだが、ラモスを除くとシステムとして穴埋めができていた例がない。ラモスのケースも、クラブチームの同僚だった三浦知良がいたので、あうんの呼吸で埋めているにすぎなかった。ちなみにラモスの背後で主にスペースをカバーしていたのは現代表監督の森保一である。

 現代のサッカーで自由すぎるエースを放置したままというわけにもいかないだろうから、いつかは解決策を探らなければならないはずだ。

(文:西部謙司)

【了】

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