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日本代表 4年前

日本代表はベネズエラの“猛者”を封じられるか? 激戦必至の好カード、勝負のカギを握るのは?

日本代表は19日、キリンチャレンジカップ2019でベネズエラ代表と対戦する。ベネズエラとはこれまでにも何度か対戦してきた日本代表だが、その度に苦戦を強いられ、親善試合とは思えぬ好ゲームを演じてきた。この日もそうした展開になることが予想されるが、勝敗のカギを握るのはどこになるのだろうか。(取材・文:河治良幸)

text by 河治良幸 photo by Getty Images,Shinya Tanaka

ベネズエラ戦は「貴重な試合」

森保一
森保一監督率いる日本代表は19日、ベネズエラ代表と対戦する【写真:田中伸弥】

 森保一監督が率いる日本代表は大阪のパナソニックスタジアム吹田でベネズエラ代表と対戦する。「日本代表の強化となる貴重な試合」と森保監督が語るように、これまでベネズエラは日本とキリンチャレンジカップで何度も対戦したが、その度に親善試合であることを忘れるような好ゲームを重ねて来た。

 1-1で引き分けた昨年の対戦が記憶に新しいが、そこから準々決勝に進出したコパ・アメリカ2019(南米選手権)を経て、2017年のU-17ワールドカップで準優勝に輝いた選手がさらに台頭するなど、当時より間違いなくチーム状態は高まっている。

 現在はA代表に専念しているというドゥダメル監督も「ここ数ヶ月間、11試合の親善試合をやってきて、大半はアウェイだった。『VINO THINTO(赤ワイン)』の愛称で知られるベネズエラはまさしく成熟したチームになっており、今回はいいテストになる」と“出荷前”の最終チェックを日本戦で行おうとしている。

「強度もあって技術もあって、規律もあってという。親善試合とはいえ、そういったチームと日本の地でやれるのは非常に貴重な経験になる。向こうも本気で準備してくるでしょうし、この試合だけしか彼らはたぶん無いでしょうから、そういった相手とやれるのはチームの大きな財産になるのかなと思っています」

 キルギス戦のみで所属クラブのサウサンプトンに戻った吉田麻也に代わり、おそらくキャプテンマークを巻くことが予想される柴崎岳はベネズエラとの対戦をそう捉えている。今回も4バックでスタートすることを明かした森保監督はキルギス戦のメンバーがベースになることも明言しているが、強度の高い試合が予想されるベネズエラ戦で注目したいのがボランチとセンターバックの起用法とパフォーマンスだ。

柴崎の相棒はどうなる?

 ボランチは柴崎岳が軸になると見てほぼ間違いないが“相棒”候補は橋本拳人、山口蛍、大島僚太、井手口陽介とおり、久々に復帰した大島と井手口もA代表で多くの経験をして来た選手ということで、最も層の厚いポジションと言えるかもしれない。キルギス戦では遠藤航と組んでいたこともあり、復帰組を含めた新たな“相棒”との連係は「練習だけではなんともいえないので、試合やって見てからかなという感じではあります」と柴崎は語る。

 ベネズエラの中盤に目を向けると17年U-17W杯の準優勝メンバーであり、現在はスペインのグラナダで活躍するエレーラと、経験豊富なリンコンというボランチのコンビが予想される。場合によっては4-1-4-1で来る可能性もあるが、ボランチのゲームコントロールと攻守の強度がお互いの生命線になるはずで、柴崎と誰が組むのか、そしてパフォーマンスが勝負の鍵を握る。

 順当なら前回のタジキスタン戦で柴崎とコンビを組んだ橋本拳人だが、残る3人も実力者だけに、17日と18日の練習を通じて森保監督がコンディション、相性をどう見たかで起用が決まってくる。もちろん6人まで交代できることを考えれば、どこかでチェンジしてくることも予想されるが、まずは柴崎の“相棒”のチョイスとベネズエラの中盤との駆け引きに注目したい。

 センターバックで主軸になるのはキルギス戦にも先発した植田直通だろう。これまでは植田が本来のキャプテンでもある吉田麻也の“相棒”だったが、昌子源や冨安健洋といった強力なライバルも怪我でいない状況で、初めてディフェンスラインを統率する役割を経験すると言っても過言ではない。植田自身はそうした状況をむしろ歓迎している様子で「僕が必ず引っ張っていきたい」と意気込みを語っている。

屈強なFWロンドンを抑えるのは?

サロモン・ロンドン
ベネズエラ代表のエースFWであるサロモン・ロンドン【写真:Getty Images】

 その植田の“相棒”として最も有力なのはキルギス戦にも帯同していた畠中槙之輔だ。前への強さに加えて最近はカバーリングも意識しているという守備面も注目だが、やはり最も得意とするのがビルドアップだ。キルギス戦はピッチや相手の激しいプレスが影響したとはいえ、かなり割り切って縦に蹴るシーンが目立ち、そこでボールを失ったところから相手に危険な攻撃をされる悪循環も見られた。

「外から見てるとビルドアップとかで苦しんでいる場面や繋げそうだけど蹴っちゃってる場面がいくつかあった」と振り返る畠中は「そこは自分があそこに入った時に一番変われるものだと思うので、そこは意識して自信を持ってやりたい」と現在Jリーグで終盤戦まで優勝を争う横浜F・マリノスでも見せている後ろからの配球を武器にアピールすることを狙っている。

 その一方で、AFCアジアカップ2019のメンバーであり、植田とも競争を繰り広げて来た三浦弦太が復帰している。ベネズエラがポストプレーや空中戦に優れる屈強な長身FWサロモン・ロンドンを前線に配置すると想定すれば、人に強い植田と三浦を並べて迎撃するプランも考えられる。

 ただ、空中戦の強さでは初選出の荒木隼人もおり、進藤亮佑も強さと機動力を兼ね備える注目候補。その中で、森保監督が直前の練習をどう評価してチョイスするか。

 何れにしてもベネズエラの攻撃を跳ね返せるかどうかはロンドンを封じることができるかにかかっている。ロンドンにおさまらないと、マチスやソテルド、ムリージョといったスピードとテクニックに優れる2列目やサイドのアタッカーも推進力を発揮できないので、植田を主軸としてどういう組み合わせになるのか、そしてパフォーマンスは今後の競争をさらに活性化する意味でも注目のポジションだ。

(取材・文:河治良幸)

【了】

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