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浅野拓磨が4失点惨敗で感じた「日本人の課題」。なぜベネズエラに圧倒されたのか?

text by 編集部 photo by Shinya Tanaka

浅野拓磨
日本代表のFW浅野拓磨【写真:田中伸弥】

 日本代表は19日、キリンチャレンジカップ2019でベネズエラ代表に1-4の大敗を喫した。

 2トップの一角で先発出場を果たしたFW浅野拓磨は「一言で言ったら『何もしていない』と思いますし、特に前半4失点して、そこに関しては攻撃陣含めて全員で守るべきものを守れなかったと思っているので、まずはそこが今日の一番の課題かなと思います」と自分だけでなくチーム全体の低調ぶりを嘆いた。

 前半に失点を繰り返した要因といて、浅野は「守備から入った時のチームとしてのイメージが合っていなかった」ことを挙げる。前線の2トップから相手の選択肢を限定してプレッシャーをかけ、後ろの選手も連動するのが理想だが、なかなか全体が連動できず。

「相手に技術の高い選手多かったり、能力やフィジカル的にもレベルが高い選手が多い中で、チームとして『じゃあ、どうしよう」という考え方ができなかった」と、うまくいかない時にチーム全体の意思統一を図れなかったことを悔やんだ。

 そして、浅野が「僕たち日本人からして、海外の選手と戦う時は常に課題になる」と語る「1対1」や「球際」の場面で後手を踏んだことも敗因に挙げる。

「1人ひとりがトレーニングで補える部分は補っていかないといけないですけど、それ以上のところはチーム力であったり、1対1でどうしても勝てないんだったらどうするのかを考えていかないといけない。そもそも、その場面を作らない方法をチームとしてもっともっと考えていかないといけない。

今日もサイドのところで1対1になって、クロスを上げられて、中にもあれだけデカい選手と強い選手がいて、単純に考えて『勝てよ』と言うのは簡単ですけど、そこはどうすればあそこにボールを持っていかなくていいのかをチームとして考えていかないといけない」

 ベネズエラとは昨年11月にも対戦していて、当時のチームや今夏のコパ・アメリカでのイメージを持っていた選手もいただろう。チームとしても過去の試合を分析してゲームプランを構築していたはずだ。

 だが、序盤から想定以上のパフォーマンスに圧倒されて、打開策を見出せなかったのは間違いない。ハーフタイムに修正して後半に改善できても、それれは遅いのだ。浅野は言う。

「試合前に話していたコンセプトであったり、2トップから限定してプレスをかけていくところを固く意識しすぎたのかなと。ゲーム前のチームでのイメージの共有が逆に裏目に出てしまった。失点してからのプレーをもっともっと考えるべきであって、最初にそういうコンセプトで行くのは当たり前ですけど、それがハマらないと感じた時にどうすればよかったのか。コミュニケーションを取り合いながら、全員がイメージ共有していることを一気にひっくり返すことは難しい」

 森保一監督は常に「臨機応変さ」の重要性を強調しているが、ベネズエラ戦はまさに柔軟な対応力に課題があることを露呈してしまった。選手個々の1対1、チームとしての力量、あらゆる側面で世界との差を認識して前に進まなければならないだろう。

(取材:元川悦子【大阪】、文・構成:編集部)

【了】

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