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Jリーグ 4年前

J1参入プレーオフ決勝展望、湘南ベルマーレ対徳島ヴォルティス。実力は拮抗、勝敗のカギを握るのは?

J1、J2入れ替え戦となるJ1参入プレーオフ決勝戦、湘南ベルマーレ対徳島ヴォルティスが14日に行われる。お互いに3-4-2-1のシステムを基本とするいわゆる“ミラーゲーム”は、激しい展開になること間違いなし。カギを握るのはどういった部分になるだろうか。(文:編集部)

text by 編集部 photo by Getty Images

いよいよ迎える運命の一戦

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14日、湘南ベルマーレと徳島ヴォルティスがJ1参入プレーオフ決勝で激突する【写真:Getty Images】

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 今季の明治安田生命J1、J2、J3リーグは全日程を終了した。しかし、残留と昇格を懸けた争いはまだ続いている。14日には、湘南ベルマーレと徳島ヴォルティスがJ1参入プレーオフ決勝戦で激突。両者の運命が、ここで決まることになる。

 第33節のサンフレッチェ広島戦に勝利したことで自動降格を回避した湘南は、最終節で松本山雅FCと対戦。勝てば他会場の結果に関係なく残留が決まるという大一番で、湘南は前半こそ0-0で終えるものの、終盤の85分に途中出場のFW野田隆之介が待望の先制ゴールをマークし、勝利に大きく近づいた。

 しかし、悲劇は起きた。90分、右サイドからのクロスをファーサイドのDF飯田真輝がヘディングで中央へ折り返す。そこに反応したのは途中出場のFW阪野豊史。懸命に足を伸ばしてゴールへ押し込み、松本が土壇場で同点に追いついたのである。

 試合はこのまま1-1で終了。90分間ハードに戦い続けた湘南のイレブンは、バタバタとピッチに倒れていった。試合終盤の失点は、第32節のFC東京戦でも起きたこと。なおさらショックは大きかったはずだ。

 他会場では湘南と同じく残留を争っていた清水エスパルスがサガン鳥栖に勝利を収めたため、この時点で湘南の16位が確定。参入プレーオフに出場することになった。

 一方、今季の明治安田生命J2リーグを4位で終えた徳島は、参入プレーオフ2回戦でモンテディオ山形と対戦。引き分け以上で決勝進出という状況で、徳島は53分にFW河田篤秀が値千金の先制ゴールを奪取するなど、試合のペースを掌握する。

 試合終盤は山形のパワープレーに耐える時間帯もあったが、徳島は粘り強い守備で相手に隙を与えず。試合はこのまま1-0で終了し、徳島はプレーオフ決勝戦に駒を進めることになった。

湘南の強みが徳島を生かす?

 決勝戦の舞台はShonan BMWスタジアム平塚。ホームでこの一戦を迎えることができる湘南は、引き分け以上で残留を決めることができる。対する徳島は昇格を果たすためには勝利が必須。アウェイでのゲームということで難しい展開になることが予想されるが、果たして2014年以来となるJ1参戦を決めることができるか。

 湘南の基本システムは3-4-2-1。前線から素早いプレスで相手の攻撃をけん制し、ボールを奪ったら時間をかけないスピーディーな攻めに転じる。ボールを保持する際のキープレイヤーとなるのは最前線のFW山﨑凌吾。同選手の下にボールを収め、そこからパスを散らし2列目やサイドの選手を生かすことができれば、湘南の攻撃は一気に加速することになる。

 守備時に重要な役割を担うのは中盤底2枚。MF金子大毅とMF齊藤未月だ。彼らの幅広いエリアをカバーするハードワークは、相手の攻撃を早い段階でストップするためにも非常に重要なものとなる。徳島戦でもそうした強みは生かしていきたい。

 ただ、不安なのは得点力。湘南は今季のリーグ戦で計40得点を挙げているが、そのほとんどが開幕から夏場までの間に奪ったもの。第24節のベガルタ仙台戦以降、複数得点を奪うことができていないのが現状だ。ここ最近の試合で先制点を奪うことができているのはポジティブな要素だが、14日の試合では、徳島に先制されると残留はかなり厳しいものになってしまうだろう。引き分け以上で残留という有利な条件はあるが、そこだけは避けたいところだ。

 一方の徳島の基本システムも3-4-2-1。リカルド・ロドリゲス監督の下、こちらも前線からの激しいプレスを持ち味としており、ボールを奪ってからゴールに迫るまでのスピードもある。昇格を果たすためには湘南戦での勝利が必須ということで、立ち上がりからよりここの強度を高めて挑むはずだ。

 湘南にとって厄介なのは、徳島はボールポゼッション時でも持ち味を発揮できること。相手のプレスを的確に回避するパス回しの上手さがあり、決して無理はしないがジワジワと相手を押し込むことができる。湘南は引いて守るチームではないが、逆にそうした部分が徳島の強みを引き出してしまう可能性もある。

 徳島は先制に成功したとしても、決して自陣に引いて守ることはしない。それは、プレーオフ2回戦の山形戦でも見られた。1点を先に奪ったとしても、敵陣などでボール支配率を高めとにかく試合の主導権を渡さないというのが、強みだ。やはりこの試合のカギは先制点ということになるだろう。

 両者の過去の対戦成績は9勝5分9敗とまったくの五分。直近5試合では湘南が3勝2分とリードしているが、実力的には拮抗していると見ていいだろう。お互いに攻守の切り替えがかなり素早くなると予想されるこの試合。果たして勝利の女神は、どちらに微笑むだろうか。

(文:編集部)

【了】

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