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中山雄太、豪快直接フリーキック弾の裏に安部裕葵のやさしさあり「すんなり譲ってくれた」

text by 編集部 photo by Getty Images

中山雄太
豪快な直接フリーキックで先制ゴールを決めたU-22日本代表のMF中山雄太【写真:Getty Images】

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【日本 9-0 ジャマイカ キリンチャレンジカップ2019】

 来年の東京五輪出場に向けて強化を進めるU-22日本代表は28日、キリンチャレンジカップ2019でU-22ジャマイカ代表に9-0の大勝を収めた。

 チームキャプテンのMF中山雄太が、豪快な一発で快勝劇の口火を切った。6分、ペナルティエリア右手前から、相手選手の壁を越えて、強烈な直接フリーキックをゴール左上角に叩き込んだ。この1点がU-22日本代表に勇気と勢いを与えたのは間違いない。

「あんまり多くは考えず、本当に自信を持って蹴って、気持ちで入ったゴールかなと思います」

 試合後、中山は自らのゴールをそう振り返った。あのフリーキックの場面、彼が蹴らなかった可能性もあった。しかし、キッカーを巡っての話し合いの中で、チームメイトからの優しさを感じる瞬間があったという。

「自信があったんで、(安部)裕葵との会話では『蹴らせてほしい』というのは伝えたんですけど、裕葵もすんなり譲ってくれた」と、中山は明かした。バルセロナでプレーする後輩の思いも背負って蹴ったフリーキックだった。

 中山自身、ここ数ヶ月は「代表」で精彩を欠いていた。A代表として参戦した夏のコパ・アメリカや、U-22日本代表として臨んだ11月のU-22コロンビア代表戦でもプレーに勢いがなく、最近は所属するオランダ1部のズウォレでも出場機会を減らしている。

 そんな中で迎えたジャマイカ戦、チームとしても個人としてもポジティブな成果が得られたに違いない。

「まず第一にチームとしてやることがハッキリしていたので、僕自身もプレーしやすかったですし、そのうえで自分の特徴を出せて、なおかつ結果がついてきたのは大きいと思います。けど、僕自身うれしい部分はあるものの、1試合終わっただけで満足する部分はないので」

 東京五輪まで半年あまり。18人の最終メンバー入りを目指す競争は激しさを増し、キャプテンの中山とて高いレベルのパフォーマンスを維持できなければ生き残っていけないかもしれない。

「試合前に自分たちが準備してきたことに対して出る結果が、たぶん次に生かせると思う。こういう試合の前にどれだけチームが共通意識を深めて準備していくかが、それこそチーム力になっていくと思います。どんな選手が選考されてもこういう習慣がついていけば、日本代表として、五輪世代としての積み上げは大きくなってくるんじゃないか」

 中山はあくまでチーム中心の視点で話すが、「次の活動でどう積み上げていくかが大事だと思うので、今はそれに切り替えていきたい」という言葉には個人としての意味合いも込められていそうだ。まずはオランダでしっかりとチャンスを掴み、好調を維持した上で次のU-22日本代表招集に備えたいところだ。東京五輪まで残された時間は長いようで短い。

(取材:元川悦子【長崎】、文・構成:編集部)

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【了】

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