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堂安律、19/20前半戦の評価は? その序列は…PSVで挑む熾烈なポジション争い【欧州日本人中間査定(11)】

新年を迎え、2019/20シーズンは後半戦へと突入した。欧州各国でプレーする日本人選手たちはどのような活躍を見せたのか。今回はPSVでプレーする堂安律の前半戦を振り返る。(文:編集部)

シリーズ:欧州日本人中間査定 text by 編集部 photo by Getty Images

開幕後に電撃移籍

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PSVでプレーする堂安律【写真:Getty Images】

 移籍の噂が絶えないオフシーズンを過ごしたが、堂安律はフローニンヘンで3年目のシーズンをスタートさせた。昨シーズンは日本代表の活動期間と累積警告による出場停止となった1試合を除く30試合すべてに先発出場している。チームにおける立場は不動で、第2節のトゥエンテ戦では今季初ゴールを決めた。

 しかし8月中旬になって、PSVへの移籍が現実味を帯びてくる。堂安は18日のAZ戦を欠場。出場する予定だったが急遽メンバー外となり、スタンド観戦となったと伝えられている。

 そして27日、フローニンヘンからPSVへの移籍が発表された。メディカルチェックを経て、24回のリーグ優勝を誇るオランダの強豪と5年契約を結んだことが明らかになった。

 フローニンヘンのテクニカルディレクターを務めるマルク=ヤン・フレデルスは、堂安の放出を「クラブの歴史上最大の取引のひとつ」と表現した。報じられた移籍金は750万ユーロ(約8億8000万円)に上る。クラブにとってはルイス・スアレスやアリエン・ロッベンを上回る額を受け取ることとなった。

 本格的な合流は直後に予定されていた代表活動を終えてからとなった。14日のフィテッセ戦にベンチ入りすると、79分に移籍後初出場を果たしている。続くUEFAヨーロッパリーグ(EL)のスポルティング戦でも10分強プレーした。初先発は奇しくも古巣対戦となり、フル出場で3-1の勝利に貢献した。

指揮官も称賛するパフォーマンス

 初ゴールは日本人対決となった9月29日のズヴォレ戦だった。ベンチスタートだった堂安は51分からピッチに立つと、左サイドバックを務めるファン・ウェルメスケルケン際とマッチアップした。

 2-0で迎えた72分、PSVは中央をコンビネーションで崩すと、ステフェン・ベルフバインが堂安にパスを送る。堂安はこれを右足でトラップして左足を振り抜く。ファン・ウェルメスケルケン際も身体を寄せるが、ファーサイドに放たれたシュートはゴールネットを揺らした。

 結果を残した堂安は続くELにも先発で起用された。10月3日のローゼンボリ戦では41分、相手のパスミスを拾ってゴール前に侵入すると、左サイドでフリーとなったドニエル・マレンにパスを送ってゴールをお膳立て。78分にも相手のバックパスをインターセプトすると、右サイドの裏を取ったマレンに絶妙なスルーパスを送って4点目を演出した。2アシストの活躍にはマルク・ファン・ボメル監督も賛辞を送っている。

 しかし、強豪クラブでのプレーは順風満帆とはいかない。マレン、ベルフバインといった前線のタレントを怪我で欠いたこともあり、10月27日に行われたAZとの強豪対決で堂安にチャンスが回ってきた。

 しかし、ライアン・トーマスが一発退場となり、前半20分以降は数的不利での戦いを余儀なくされた。PSVは守勢に回り、攻撃で見せ場を作ることができなかった堂安はハーフタイムで交代となった。苦しむチームを救うことはできず、結果的に0-4というスコアで大敗を喫した。

チーム内での序列は…

 ライバルたちとは異なる魅力を持っていることは確かだ。ブルーマやベルフバインといったアタッカーたちは直線的なドリブルが魅力だが、攻撃が単調になるという弱点も持っている。「リツは非常に効果的にプレーし、ボールを保持してくれる」と指揮官が話すように、チームに必要な存在として認知されている。

 PSV移籍後は13試合中11試合に先発しているが、前半戦は2得点1アシストという数字に終わった。ウイングのライバルを見ると、ベルフバインは5得点10アシストを叩き出し、ブルーマは3得点3アシスト、途中出場が多いコディ・ガクポも4得点6アシストを決めている。ポジションを確保しているとは言い難い。

 前半戦を終えたPSVの順位は3位。チャンピオンズリーグ予選2回戦からの参加となる2位AZとの勝ち点差は7ポイントとなっている。ELはグループステージ3位に終わり、後半戦は国内での戦いに専念することとなった。前半戦に比べると主力が固定される可能性も考えられる。

 ウインターブレイクを終え、1月19日にリーグ戦は再開された。後半戦初戦となったVVVフェンロ戦ではベンチで90分間を過ごした。前線にはベルフバイン、ガクポ、ブルーマといった顔ぶれが並んでいる。熾烈なポジション争いは今後も続きそうだ。

(文:編集部)

【了】

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