東京五輪にどうしても必要な選手がいる。日本最高クラスの力を持つ男の価値【西部の目】

東京五輪までは半年を切った。本番に向けて強化を進めていく上で、海外組の存在は欠かせない。中でも、A代表の常連でもある冨安健洋と堂安律は非常に重要な存在となるだろう。今回は、彼らが生み出す“接合点”としての役割について考えていきたい。(文:西部謙司)

2020年02月07日(Fri)10時30分配信

シリーズ:西部の目
text by 西部謙司
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A代表と五輪代表の接合点

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【写真:Getty Images】

 東京五輪に向けての候補選手のテストは終了、ここからは本大会へ向けての強化期間になると思われる。欧州組もできるだけ招集していきたいが、シーズン中のヨーロッパからどれほど招集ができるのかはわからない。それでも、どうしても必要な選手はいる。

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 冨安健洋は是が非でも招集したい選手だろう。

 すでにA代表のセンターバックとして定着していて、右サイドバックもできるし、ボランチでもプレーできる。18人編成の五輪では複数のポジションをこなせる選手は有利だが、冨安の場合はそういうことではなく、日本で最高クラスのDFであり、U-23世代でもあるのだから呼ばないという選択肢はないのだ。

 A代表との兼ね合いを考えても不可欠といえる。例えば、オーバーエイジの吉田麻也を招集すればそのままA代表のコンビになるし、U-23世代の板倉滉や中山雄太と組ませても近い将来のA代表強化につながる。森保一監督が2つのチームを兼任したのも、五輪への強化をA代表へスムーズにつなげるのが目的だったはず。冨安はまさに2つのチームを接合する選手として欠かせないわけだ。

 U-23世代でA代表の常連としては、冨安のほかに堂安律がいる。ほかにも何人かはA代表経験があるが、2つのチームの接点となるのは冨安と堂安しかおらず、オーバーエイジ3人を使って接点を増やすことになるのではないか。おそらくボランチに柴崎岳、残りはDF1人、FWないし2列目から1人というところだろうか。

U-20と五輪代表の接合点

 A代表との接点になるもう1人、堂安律は冨安のようなユーティリティー性は希薄だ。2列目の右側が指定席の選手である。

 縦へのスピードが持ち味というタイプではなく、左利きだが利き足とは逆の右サイドからのカットインが特徴だ。直線的なスピードよりアジリティのアタッカーであり、中央でもプレーできるが右サイド限定といっていい。欧州組の2列目候補は久保建英、三好康児も左利きで、カットイン型という点では堂安と似ている。A代表の2列目は南野拓実、中島翔哉と息のあったコンビネーションを披露しているが、久保、三好ともU-20ワールドカップで一緒にプレーした経験がある。

 そのときは堂安、久保、三好による、狭い地域を細かなパスワークで突破する攻撃が斬新だった。狭めてくる相手の守備の網を広げるのではなく、あえて狭い場所へ入り込んですり抜けていた。相手がそれ以上狭くできないところまで近づいて突破する。守備網から逃れ、ボールを散らして広げる攻撃は基本ではあるが、広いスペースでの1対1に優位性がなければ広げることにあまり意味はない。相手の1人ぶんのエリアに2人ないし3人が突入して鼻先でかわしていく攻め込みはラグビー的でもあり、三つ子のような3人だから効果があったのかもしれない。

 堂安の場合はA代表とU-23の接点というより、かつてのU-20代表と五輪代表の接合点になるわけだ。

(文:西部謙司)

【了】

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