フットボールチャンネル

「久保建英は本当に良い子」。ダニ・オルモが語るバルセロナ下部組織の思い出【インタビュー第3回】

2014年に名門バルセロナから一人の若者ダニ・オルモがクロアチアのディナモ・ザグレブに移籍し、今冬にRBライプツィヒへステップアップしたスペインの至宝が自身のキャリアと東京五輪への思いを語った3/6発売の『フットボール批評issue27』から一部抜粋して全3回で公開する。今回は第3回。(インタビュー・文:長束恭行)

text by 長束恭行 photo by Getty Images

「彼とはたくさん会話をしたなあ」

0307DaniOlmo_nagatsuka2
【写真:長束恭行】v

――バルセロナのカンテラで3歳年下だった久保建英のことは知っている?

「ああ、当然知っている。ラ・マシアで一緒だったからね。僕がバルセロナでプレーしていた頃、FIFAが指摘する問題が生じるまでは彼も同じくプレーしていた。とても優秀な選手だったし、最高のタレントだ。日本に戻ってからわずか16歳で1部リーグでプレーし、最高の選手の一人になったことも知っている。今はスペインに戻ってきたわけだけど、彼の活躍は嬉しく思うよ」

【今シーズンのバルセロナはDAZNで!
いつでもどこでも簡単視聴。1ヶ月無料お試し実施中】


――今はマジョルカ在籍だよね。

「そうそう。彼は素晴らしい子だ」

――会話したことはあるの?

「もちろん! 小さかった頃の彼を覚えているよ。僕も当時は小さかったけどね(笑)。彼とはたくさん会話をしたなあ。本当に良い子だよ。きっと今も良い人柄のままでいるのは間違いないよね」

――日本はバルセロナを模倣するきらいがある。全世界がそうかもしれないけど……。

「ははは(笑)。バルセロナを模倣するのが難しいことは言うまでもない。バルセロナは世界で最も美しいサッカーの一つを演じているわけだからね。しかし、バルセロナのスタイルにチャレンジし、少しでも成功したのならば、相手にとって危険な局面をたくさん作ることができる。それだけにチャレンジするのは良いことかもしれないね」

――日本にはスペイン代表のファンがたくさんいるよ。

「それは最高だね! 五輪の試合にも来てくれそうだね!」

――もしEURO2020に出場したとしても五輪には参加できるの?

 「可能だよ。EURO開催が6月12日〜7月12日、五輪開催が7月24日〜8月9日と被っていないからね」

――もし君がそれぞれの代表に選ばれたとしたら、両大会とも出場するつもりなの?

「うん! そうなったら最高だよね!(笑)」

――最後に日本のサッカーファンにメッセージを。

「東京五輪に参加できることだけでも僕は誇らしく思っているよ。みんなが大会を楽しんでくれることを望んでいるし、最後には僕たち全員がハッピーになれるといいよね!」

 今冬の移籍を決断したオルモに対し、ミランが熱心にラブコールを送るものの、若き知将ナーゲルスマン監督がヤングタレントを束ねるRBライプツィヒからのオファーを即決。1月25日に5年契約を結んだ。移籍金は1800万ユーロ+ボーナスで、活躍次第で最大総額4000万ユーロ前後になる可能性も。

 16歳でバルセロナからディナモに移籍した際と同じく、さらなる成長を見据えた「最良の選択」をしたのは、いかにも堅実な彼らしいところだ。

 ドイツに旅立つ日、別れの言葉を一晩悩み続けたオルモは、ディナモのチームメイトを前に涙を流し、何も言い出せなかったという。

(インタビュー・文:長束恭行)

▽ダニ・オルモ(Dani Olmo)

1998年生まれ、スペイン・カタルーニャ州バルセロナ県タラサ出身。U- 23スペイン代表。FCバルセロナのカンテラを経て、2014年に16 歳という若さでクロアチアの強豪ディナモ・ザグレブに移籍し2015年にトップチームデビュー。インサイドハーフとして主力に定着。クロアチアでの活躍が注目され、ビッグクラブの争奪戦となる。2020 年1月、ドイツの新興勢力RBライプツィヒに移籍。

FootballCritic28

『フットボール批評issue27』


定価:本体1500円+税

<書籍概要>
プレーモデルから経営哲学、はたまた人間形成まで、ありとあらゆる“洋物”のフットボールメソッドが溢れ返るここ日本に、独自のフットボール論が醸成されていないと言えば実はそうでもない。
例えば27年目を迎えるJリーグ自体、“完熟”の域には達していないまでも、“成熟”の二文字がチラつくレベルに昇華している。
“洋物”への過度な依存は、“和物”の金言をフォーカスする作業を怠っているからにすぎない。
フロント、プレーヤー、無論、サポーターにも一家言が備わりつつある時代になっていることを思えば、舶来のメソッドばかりを追いかけるのもそろそろどうかという気がしている。
経営、バンディエラ、キャリアメーク、データ、サポーターなどさまざなま分野に、それこそ秀でた国産のフットボール論は転がっている。
弊誌が見初めた“Jのインフルエンサー”による至言に、まずは耳を傾けてはいかがか。

詳細はこちらから

【了】

KANZENからのお知らせ

scroll top