アーセナル、背番号19はなぜ左サイドで輝いたのか? オーバメヤン不在のピンチを救ったサプライズ起用【分析コラム】

プレミアリーグ第20節、サウサンプトン対アーセナルが現地時間26日に行われ、1-3でアーセナルが勝利した。ピエール=エメリク・オーバメヤンを欠くアーセナルは速攻が炸裂。好調を維持するチームの中で新発見は、左サイドで起用されたニコラ・ペペだった。(文:加藤健一)

2021年01月27日(Wed)10時52分配信

text by 加藤健一 photo Getty Images
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雪辱を果たしたアーセナル

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【写真:Getty Images】

 同じ相手に4日間で2度敗れるという屈辱は避けられた。アーセナルは23日のFAカップ4回戦でサウサンプトンに0-1で敗れていたが、リターンマッチとなったリーグ戦で雪辱を果たしている。

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 サウサンプトンはアーセナルを撃破した先発メンバーのうち、GKと両サイドバックの3人を変更。ライアン・バートランドは累積警告で出場停止となり、カイル・ウォーカー=ピータースは太ももを痛めてこの試合を欠場している。

 連戦による疲れもあったのか、サウサンプトンのミスは目立った。ボールを持たれる時間が長かったFAカップとは一転、自陣から丁寧にボールを繋ごうとしたが、アーセナルのハイプレスの餌食となっている。

 開始1分足らずの場面では、ヤン・ベドナレクの縦パスがグラニト・ジャカに渡ってしまう。ジャカからスルーパスを受けたアレクサンドル・ラカゼットは、GKと1対1の局面を迎えた。アレックス・マッカーシーのビッグセーブによりスコアは動かなかったが、このシーンが試合を象徴していた。

オーバメヤン不在も3得点

 アーセナルは3分にCKから失点したが、8分に同点に追いついた。これもサウサンプトンがGKからつなごうとしたところを奪ってゴールに迫っている。ブカヨ・サカ、トーマス・パルティ、ジャカとつなぎ、スルーパスを受けたニコラ・ペペが相手をうまく背負いながら左足でゴールを決めた。

 アーセナルは前半のうちに逆転に成功。ベルント・レノのGKをジャカが拾い、ラカゼットがダイレクトでスルーパスを送る。これに反応したサカが飛び出してきたGKをかわしてゴールネットに流し込んだ。

 ボール保持率がほぼイーブンだった前半とは対照的に、後半はサウサンプトンがボールを持つ時間が長くなった。アーセナルは自陣に引いて守る時間が長くなったが、仕留めるタイミングを淡々と狙っていた。左サイドバックで起用されたセドリック・ソアレスのサイドチェンジを受けたサカがワンタッチでゴール前に折り返し、ゴール前に侵入したラカゼットが決めた。

 キャプテンでエースのピエール=エメリク・オーバメヤンがFAカップに続いて欠場。クラブは理由を「個人的な理由」と説明しており、ミケル・アルテタ監督は「彼には少し時間が必要で、私たちはそれを尊重しサポートする必要がある」とコメントしている。

 2得点を挙げたニューカッスル戦で復調の兆しを見せたオーバメヤンの欠場が、アーセナルに与える影響は決して小さくない。FAカップでは無得点に終わったが、リーグ戦ではアルテタ監督が改善策を用意していた。

ペペはなぜ左サイドで輝いたのか?

 エースの代わりに起用されたのはペペ。クラブレコードの移籍金7200万ポンド(約94億円)で19年夏に加入したが、その金額に見合う活躍はこれまでできていない。外部から批判を受ける機会も多いが、この試合では名誉挽回と言わんばかりに躍動していた。

 精度の高いクロスやミドルシュート、密集をすり抜けるように剥がすドリブルといったペペの特徴は、アタッキングサードに相手を押し込んだ状況で威力を発揮する。ロングカウンターではペペのスピードが活かされるが、ショートカウンターでは右サイドのペペは存在感を失うことも多い。

 そういった状況を考慮してアルテタ監督が出した答えは、右サイドで起用されることの多かったペペを左サイドに移すことだった。利き足側に配置されたペペはカットインという選択肢を失ったことで迷いが消えた。

 1トップのラカゼットは2点目のシーンのようにライン間で前を向くプレーが得意で、9番と10番のプレーを両立することもできる。ラカゼットが降りてペペがDFラインの裏を取る動きは、この試合で効力を発揮していた。

 この試合で負傷交代したスミス=ロウやパルティの状態は気がかりだが、アーセナルはクリスマス以降、リーグ戦で5勝1分と好調を維持している。エース不在の代替案を示したアーセナルは、中3日で迎えるマンチェスター・ユナイテッド戦に向けて最高の準備を整えた。

(文:加藤健一)

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なぜ、あえて今アーセナルなのか。
あるアーセナル狂の英国人が「今すぐにでも隣からモウリーニョを呼んで守備を整理しろ」と大真面目に叫ぶほど、クラブは低迷期を迎えているにもかかわらず、である。
そのヒントはそれこそ、今に凝縮されている。
感染症を抑えながら経済を回す。世界は今、そんな無理難題に挑んでいる。
同じくアーセナル、特にアルセーヌ・ベンゲル時代のアーセナルは、一部から「うぶすぎる」と揶揄されながら、内容と結果を執拗に追い求めてきた。
そういった意味ではベンゲルが作り上げたアーセナルと今の世界は大いにリンクする。
ベンゲルが落とし込んだ理想にしどろもどろする今のアーセナルは、大袈裟に言えば社会の鏡のような気がしてならない。
だからこそ今、皮肉でもなんでもなく、ベンゲルの亡霊に苛まれてみるのも悪くない。
そして、アーセナルの未来を託されたミケル・アルテタは、ベンゲルの亡霊より遥かに大きなアーセナル信仰に対峙しなければならない。
ジョゼップ・グアルディオラの薫陶を受けたアーセナルに所縁のあるバスク人は、それこそ世界的信仰を直視するのか、それとも無視するのか。

“新アーセナル様式”の今後を追う。

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【了】

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