冨安健洋が最高に輝いた49分。安心・安全、賢い守備対応。データにも表れる質の高さ【分析コラム】

セリエA第22節、ボローニャ対ベネベントが現地時間12日に行われ、1-1のドローに終わっている。日本代表DFの冨安健洋はこの日もフル出場。チームとしては残念な結果に終わったが、個人のパフォーマンスは攻守において光っていた。(文:小澤祐作)

2021年02月13日(Sat)11時48分配信

text by 小澤祐作 photo Getty Images
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指揮官怒りのドロー

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【写真:Getty Images】

 今季何回目だろうか。ボローニャが“勝てる試合”でポイントを落としたのは。90分間を終え、シニシャ・ミハイロビッチ監督は「私は怒っている。私を満足させるポイントではない」と厳しい言葉を残している。

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 ベネベント戦のスタートは完璧だった。開始わずか1分、ペナルティーエリア内でムサ・バロウが粘りシュート。これはブロックに入ったDFに当たったが、こぼれ球をニコラ・サンソーネがフリーでプッシュし、あっという間にリードを奪っている。

 その後、高い位置から積極的にプレッシャーを与えるボローニャとベネベントは一進一退の攻防を繰り広げた。球際の競り合いは非常に激しく、両者ともに相手に主導権を与えることはなかった。

 1-0のまま迎えた後半、ボローニャはさっそくリードを広げるチャンスを作り出した。47分にサンソーネがフリーでシュートを放ち、その1分後にショートカウンターからバロウもシュートを放っている。しかし、ここで今季ミハイロビッチ監督が頭を抱える決定力不足を露呈。仕留め切ることができなかった。

 すると、1点リードという予断を許さない状況が続く中、ボローニャはやや相手に押し込まれてしまう。「我々にはリードを2倍にするチャンスがあったし、ドローに苦しむとは思えなかったが、ベネベントは我々の集中力の欠如を利用し、最後にはさらに困難を生み出そうとした」とミハイロビッチ監督が試合後に話した通り、時間の経過とともにボローニャ守備陣に緩みが出てしまっていた。

 そして、60分に失点。クロスをキャッチしようとしたGKウカシュ・スコルプスキがボールを落としてしまい、最後はニコラス・ヴィオラに無人のゴールへシュートを流し込まれている。実に勿体ない失点だった。

 ミスから同点に追いつかれたボローニャはその後ベネベントを攻略できず、ホームで勝ち点1を奪うに留まっている。冒頭でも記した通り、勝てる試合で勝てなかったのは決して今回だけではない。試合運びの悪さ、決定力不足…今季のボローニャのウィークポイントがすべて出てしまう結果となった。

冨安健洋は安心・安全

 さて、チームとしては悔いの残る結末を迎えることになったが、その中でも日本代表DF冨安健洋のパフォーマンスは相変わらず輝いていた。

 ベネベント戦ではダニーロ、そして今冬新加入のアダマ・スマオロがセンターバックコンビを組んだため、冨安は右サイドバックで先発起用されている。同ポジションでのプレーはこれでリーグ戦3試合連続ということになった。

 冨安は主にツーシャドーの一角に入っていたジャンルカ・カプラーリとマッチアップ。流れの中ではサイドに流れてきたジャンルカ・ラパドゥーラや左インサイドハーフに入っていたヴィオラとも対峙した。その中で冨安は対人守備の強さを発揮し、彼らに大きな仕事を与えず。まさに、安心・安全な対応を見せた。

 攻撃時にはタイミングの良い攻め上がりで右サイドハーフに入ったアンドレアス・スコフ・オルセンを的確にサポート。43分には中央を一気に駆け上がり、最後は強烈なミドルシュートで得点の可能性を生んでいる。また、ビルドアップ時の安定感も流石で、利き足だけでなく左足も柔軟に使うことができる冨安は相手に簡単に捕まることが一切なかった。

 その背番号14がこの日最も素晴らしいプレーを見せたのは49分だ。

 敵陣深くに侵入したボローニャがフィニッシュで終われず、ボールを奪われてカウンターを受ける。そして相手FWラパドゥーラが中央でドリブルを開始したが、冨安が全力でプレスバックし、カウンターを見事に阻止。これにはボローニャベンチからも大きな拍手が沸き起こっていた。

 このシーンでは冨安のスピードや守備意識の高さだけでなく、「賢さ」も見受けられたように感じる。

 ラパドゥーラがボールを持った際、実はベネベントの選手が右サイドにも一人いる状況だった。それを猛スピードで戻る際に瞬時に確認した冨安は、ラパドゥーラの利き足である左側を切るのではなく、相手選手がいる右側を切るようにランニング。案の定、味方がいてなおかつスペースもあるサイドに逃げようとしたラパドゥーラは後ろから追ってきた冨安に気づかず、ボールを失っている。

データにも表れる貢献度の高さ

 このように、冨安はベネベント戦でも攻守両面で多くの仕事をこなしていた。そしてそれは、データにもしっかりと表れている。

 データサイト『Who Scored』によると、フル出場を果たした冨安はシュート数1本を記録し、ドリブル成功数2回を記録。パス成功率は71%とやや低かったが、空中戦勝利数2回、タックル成功数は両チーム合わせてトップタイとなる4回を記録している。レーティングは得点をマークしたサンソーネに次ぐチーム内2位の「6.9」が与えられている。

 また、セリエA公式のスタッツによると、冨安は走行距離10.692kmを記録。これはロベルト・ソリアーノ(10.929km)、バロウ(10.877km)に次ぐチーム内3番目の数字である。さらに、スプリント速度は32.03km/hを記録。これはダニーロ(33.64km/h)に次ぐ全体2番目に良い数字となっている。

 冨安はここまで怪我などで離脱することなく、全試合でフル出場を続けている。出番があればあるほど好不調の波というものは激しくなりがちだが、冨安にはそうした波の激しさがほとんど感じられない。事実、『Who Scored』内の平均レーティング(13日時点)は「6.9」でチーム内3番目、同サイト内でのMOM獲得数2回はチーム2位、DFに限定すれば1位である。22歳という年齢を考えても、この安定感は見事の一言に尽きる。
 
 ボローニャはここからサッスオーロ、ラツィオと力のあるチームとの戦いが続く。冨安はその中でも力を発揮できるか。注目だ。

(文:小澤祐作)

【了】

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