リバプール対ライプツィヒ、白熱したドイツ人指揮官同士の駆け引き。ピッチ上でめまぐるしく起こった変化【CL分析コラム】

チャンピオンズリーグ(CL)・ラウンド16の2ndレグ、リバプール対RBライプツィヒが現地時間10日に行われ、2-0で前者が勝利。2戦合計スコア4-0でベスト8進出を決めている。ユルゲン・クロップ監督とユリアン・ナーゲルスマン監督のドイツ人対決は、非常に見応えがあった。(文:小澤祐作)

2021年03月11日(Thu)11時55分配信

text by 小澤祐作 photo Getty Images
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先に仕掛けたライプツィヒ

ユルゲン・クロップ
【写真:Getty Images】

 ドイツサッカー連盟(DFB)は9日、ドイツ代表を率いるヨアヒム・レーブ監督がEURO2020(欧州選手権)限りで退任することを発表している。2006年からの長期政権だっただけに、このニュースは世界に小さくない驚きを与えていた。

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 その発表からそれほど多くの時間が経過しない中、ハンガリーの地でレーブ監督の後継者候補とも言われるユルゲン・クロップとユリアン・ナーゲルスマンが激突したのは何かの縁だろうか。この両指揮官は、チャンピオンズリーグ(CL)という舞台で素晴らしい試合を演出している。

 RBライプツィヒに基本フォーメーションなるものは存在しない。試合ごとに並びが変わるのが、彼らの基本となっている。

 そのライプツィヒはリバプール戦で3-4-2-1を採用してきた。攻撃時は最終ラインからの丁寧なビルドアップを狙い、両ウイングバックを高い位置に固定する。最前線にユスフ・ポウルセンが張り、その脇や背後をダニ・オルモとエミル・フォルスベリの2シャドーが狙っていた。

 しかし、ライプツィヒは4-3-3で守るリバプールを前に苦戦。斜めへのロングフィードで幅を取る両WBやハーフスペースを突くシャドーにボールを届けることはできたが、その後が続かない。リバプールの中盤2枚は堅く、ケビン・カンプルとマルセル・ザビツァーの中盤センター2枚がうまく攻撃に絡むこともできていなかった。

 これを見たナーゲルスマン監督は前半途中よりカンプルをアンカーに残し、ザビツァーを一列前に上げている。フォルスベリはフリーマン的な扱いとなり、3-1-4-1-1のような形に変更したのだ。狙いは、リバプールの中盤3枚を飛ばした、つまり彼らの背後のエリアを使うこと。そこに人数を集めるため、ザビツァーをスタートポジションより前に上げたのである。

 これに対しリバプールは大きな変更を行わなかったが、CBダヨ・ウパメカノらから繰り出される中盤を飛ばしたロングフィードをナサニエル・フィリップスやオザン・カバクが懸命に弾き返している。セカンドボールはファビーニョらが冷静に回収し続けており、ライプツィヒに大きな流れを渡さなかった。

リスクを冒さないリバプール

 ライプツィヒは先に仕掛けたが、結局点を奪うことができなかった。しかし、ナーゲルスマン監督は後半に入っても仕掛け続けている。

 後半頭から、ドイツ人指揮官はカンプルを下げアレクサンダー・セルロートを投入している。それまでカンプルが担っていた攻撃時のアンカーはザビツァーが引き継ぐことになった。形としては3-1-4-2である。

 狙いとしては前半から大きく変わらず、最終ラインからの長いボールでリバプールの中盤を飛ばし、高さのあるセルロートとポウルセン、そして相手サイドバックの前で幅を取るWBを使っている。2トップの後ろに構えるフォルスベリとオルモは前でボールが収まった瞬間に追い越す動きを果敢にみせていた。

 しかし、リバプールはそれでも揺るがなかった。前半は高い位置からプレッシャーを与えることを行っていたが、疲労、そして1stレグの結果も考慮し、後半からはリスクを冒さずプレスの開始位置をやや下げている。これにより中盤と最終ラインの間はよりコンパクトになり、ライプツィヒの攻撃を活性化させなかった。

 ナーゲルスマン監督は後半途中でまたも変化を加えている。ライプツィヒは守備時、3バックの一角ルーカス・クロスターマンを左サイドに出し、右WBのタイラー・アダムスを一列落とした4-4-2に変化していたのだが、60分過ぎあたりから攻撃時も4バックを維持するようになった。形は、セルロートと途中出場のファン・ヒチャンを前に残した4-1-3-2と言った方がわかりやすいか。

 狙いは、ビルドアップ時にSBをタッチライン際に張らせ、サイドハーフと縦関係を築くことでスムーズに繋いでボールを前進させようということ。中央が堅いリバプールに対し横から攻めるという狙いを持ったが、それまでサイドにいるのはWB一枚だったため、そこに人数を増やしてなんとか攻略しようという手だったとみる。

 しかし、クロップ監督率いるリバプールはマネも低い位置で守備に参加し、数的優位な状況を作らせなかった。ライプツィヒは時間が経過するにつれ焦りを見せ、軽率なパスミスも増えている。様々な変化を加えたが、最後までリズムを掴めなかった。

 最後はチャンスをしっかりモノにしたリバプールが2-0で勝利。攻撃面のクオリティーで差をみせつけた。しかし、このドイツ人指揮官同士の対決は、非常に見応えのあるゲームであった。

(文:小澤祐作)

【了】

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