日本代表の未来は非常に明るい。その理由は? 東京五輪世代が身につける図太さ【英国人の視点】

日本代表とU-24日本代表は今月、それぞれ2試合ずつが予定されている。堂安律や久保建英をはじめとする五輪代表の選手たちは、既に日本代表での経験も積んでいる。東京五輪が今夏、カタールワールドカップが来冬に控えているが、日本代表の未来は非常に明るいと言えるかもしれない。(取材・文:ショーン・キャロル)

2021年03月24日(Wed)10時00分配信

text by ショーン・キャロル photo Getty Images
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メンバーが重複するA代表と五輪代表

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【写真:Getty Images】

 東京五輪の12ヶ月延期により、五輪代表はU-24日本代表と呼び名を変えた。通常であれば、A代表と五輪代表は異なる別個のチームだとみなされるものだが、両チームの今後のスケジュールの兼ね合いもあり、現在の時点ではある程度セットとして扱われている部分もある。

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 日本サッカー協会(JFA)の反町康治技術委員長も、A代表のメンバー発表の日にU-24代表についての質問にも対応せざるを得なかった。両チームのメンバー発表の日を分けたのは五輪チームに対するメディア報道が不十分になることを避けるためだと説明していたが、その心配は不要だったようだ。

 むしろJFAとしては、A代表についての報道が五輪代表に食われてしまうことを避けるためメンバー発表を別の日にしたと考えてもいいかもしれない。現時点では若手メンバーに関するニュース需要が、サムライブルーの最新情報についての需要に並ぶほどまでに高まっている。

 もちろんこの状況は、近年で最も問題山積みの大会のひとつとなった東京五輪に日本が開催国として参加するという事実による部分が大きいとしても、それだけではないことは確かだ。A代表とU-24代表のメディア報道や話題の多くが重なり合っている理由のひとつは、両チームそれぞれのメンバー自体もかなりの部分が重複していることにある。

 EAFF E-1サッカー選手権や、五輪代表中心のメンバーで臨んだコパ・アメリカでプレーした選手が多いとはいえ、アルゼンチンとの2連戦に向けて今回U-24代表に選出されたメンバーのうち14人はすでにサムライブルーでのプレー経験がある。さらに、7人はすでに海外クラブに所属している。逆にA代表は韓国代表との親善試合とワールドカップ予選のモンゴル戦に向けて8人の初招集選手が含まれており、こちらは比較的経験の浅いチーム構成になっていると言える。

 これに加えて、現在誰もが注目する存在となっている三笘薫が待望の日本代表初招集を受けるのではなくU-24代表に呼ばれたこと、また久保建英や堂安律も若い代表チームの方に参加することを考えれば、今回U-24代表の方に大きな注目が集まる理由は明白だと言っていいだろう。

A代表に入るポテンシャルのある五輪世代

 全般的には、この状況は日本サッカー界にとって非常にポジティブなものだ。当然なことではあるが、選手たち自身は自国開催のオリンピックに出場するという生涯一度きりの経験を実現するため五輪代表入りを強く望んでいる。ただ、さらにその先も見据えなければならない。次回のワールドカップ、またその後に向けてA代表に自分の場所を確立させることを目標とするべきだ。

 今週から行われる両チームの試合に向けたそれぞれの予想先発メンバーを考えてみれば、U-24代表の選手たちがA代表入りを狙えるポジションがいくつかあることが見て取れる。その筆頭は明らかに、2列目の3人のポジションだ。

 普通に考えれば、久保と堂安、そしてこのまま順調にいけば三笘も、来年11月にカタール行きのチケットを確保することを目指す森保一監督のチームに名を連ねる選手の有力候補だと言える。ファイナルサードでプレーを組み立て、チャンスを生み出すこの3人と対戦したいと考える守備陣は世界中でもそう多くはないだろう。

 ピッチの反対側に目を向けると、大迫敬介はA代表のGKとしても本格的なオプションとして成長しつつある。21歳の彼はシュートストッパーとして非常に優れているだけでなく、大きな存在感を持ち守備陣を指揮することができる選手でもある。日本代表の現在のGK陣の多くが30歳を過ぎていることも考えれば、大迫が遠からずA代表に入ってくる可能性はある。

 また菅原由勢や板倉滉、中山雄太といった選手たちもすでに海外クラブで確かな戦力となっており、今後A代表への定着を目指していくはずだ。瀬古歩夢や旗手怜央、田中碧などの若手選手も現在のJリーグで活躍しており、さらに大きな舞台へとステップアップしていく準備は十分に整っていると感じられる。

日本サッカーは力のある選手を生み出している

 対戦相手のアルゼンチンに関しては、横内昭展監督は「全員技術が高くて、クリエイティブな選手も多いですが、そういう選手が泥臭く、ボールを奪ってマイボールにし、そこからまた前に出て行くようなタフさも兼ね備えている」「そういうチームにどれくらい自分たちがやれるのか、激しく来るのに技術の高さでどう剥がして行くかなど、我々にもやれることはあるかなと思っています」とメンバー発表の席でコメントしていた。

 これまでの世代の若い日本人選手たちであれば、相手の狡猾な技術にはやや不慣れな面もあったかもしれない。だが現在のメンバーの多くはそれぞれのクラブですでに同じような相手と毎週のように敵や味方として競い合うことが当たり前となっており、そういった部分を問題としない図太さを身につけている。

 U-24日本代表がタレント揃いであり大きな期待を集めている現状は、日本サッカー界がトップレベルでプレーできる力を持った選手たちを数多く、効果的に生み出し続けている証拠にほかならない。五輪で成功を収められるかどうかにかかわらず、このペースで成長を続けていくことができれば、次の舞台であるA代表の進化に向けた見通しも非常に明るいものとなりそうだ。

(取材・文:ショーン・キャロル)

【了】

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