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国内リーグは昨年9月閉幕、代表戦は500日ぶり…。モンゴル代表は超絶困難乗り越え日本代表戦へ

text by 編集部 photo by Zoom

ラスティスラフ・ボジク
【写真:Zoom会見のスクリーンショット】

 モンゴル代表は30日に開催されるカタールワールドカップ・アジア2次予選の日本代表戦に向け、公式記者会見を行った。

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 出席したラスティスラフ・ボジク監督は「自分たちの頭の中には何をしなければいけないかというタスクと、何を目標にすべきかというゴールがしっかりとある。なので自分たちの戦術に基づいて、自分たちのプレーをする。何を期待されているかは、選手たち自身がわかっている」と、全力で日本代表に挑んでいく姿勢を示した。

 前回両国が対戦したのは2次予選の3戦目、2019年10月のことだった。その時は日本代表がホームで6-0の快勝。今度はモンゴルのホームゲームになるはずだったが、新型コロナウイルスなどの影響もあってホーム開催が困難になり、代替として日本で無観客試合が組まれることとなった。

 これ以外にも、モンゴル代表は困難ばかりの1年を乗り越えてきた。前回対戦時にチームを指揮していたミハエル・ヴァイス監督は2020年1月に退任し、ボジク監督が就任する同年9月までの約8ヶ月間は正式な監督が不在だった。

 それだけではない。新型コロナウイルスなどの影響もあって、2019年は4月から10月にかけて開催されていたモンゴル・ナショナル・プレミアリーグが2020年は7月から9月にかけての短縮開催となってしまった。

 ほとんどの選手がシーズンオフに入った段階で就任したボジク監督が、初陣を飾ったのは2020年3月25日に行われたカタールワールドカップ・アジア2次予選のタジキスタン戦。モンゴル代表にとっては2019年11月19日のミャンマー代表戦以来、492日ぶりの公式戦となった。

「国内リーグは昨年9月に終了した。なので最後にプレーしたのが昨年9月という選手がほとんどで、中には11月にAFCカップのプレーオフのために試合をした選手もいたが、それは数人しかいない。代表チームの公式戦は2019年のミャンマー戦が最後になるので、400日以上前ということになる。こういう中で選手選考は極めて困難だった」

 ボジク監督は自らがモンゴル代表監督に就任してからの国内の状況を、このように振り返った。そして、次のように続ける。

「この困難のなか、何とか選手たちを選んできた。そして、選んだ選手たちとトレーニングする期間が2ヶ月くらいあったが、そこで選手を入れ替えるわけにはいかなかった。というのも、(代表に選ばれていない)他の選手たちは長期間トレーニングをしていないので、一度選んだ選手を他の選手と入れ替えられない状況だった」

 ごく一部の選手を除き、昨年9月以降は公式戦がなく、トレーニングからも遠ざかっている。新型コロナウイルスの影響で日常生活にも厳しい制限が求められる状況のなかで代表チームのみが稼働していたため、もし離脱者が出ても追加招集は不可能だったというわけだ。

 今月25日に行われたタジキスタン代表戦は0-3で敗れ、ボジク監督の初陣を勝利で飾ることはできなかった。その後、「非常に複雑」な飛行機移動を経て来日。時差調整などでも難しいコンディショニングを強いられながら、日本代表戦に挑む。

 記者会見に同席していたキャプテンのDFツェデンバル・ノルジモーは「コロナ禍でモンゴルでは非常に厳しい状況が続いた。長い期間プレーできなかったが、コーチたちが自宅でトレーニングできるようなメニューを作ってくれた。それから21日間トルコでトレーニングをして、今ここに来ている。明日の準備は整っていると思う」と語っていた。合宿生活で培った組織力で日本代表に対抗していくつもりのようだ。

 ボジク監督は日本代表という格上を相手にする試合でも「言い訳はしない。自分たちがやるべきことをするのみ」と意気込む。ともに困難を乗り越えてきた選手たちを信じ、日本戦のピッチに送り出すつもりだ。

「モンゴルは冬が極めて厳しく、そういう中で代表チームの選手選考をするのは本当に大変だった。我々は決して諦めない。どんなに天候が荒れた日でも一筋の光が射す時があるので、複雑な状況でも克服して何とか良いチームを作りたいと思っている」

 様々な制限が要求される複雑な状況下でも覚悟を決めて来日し、全力で試合に挑んでくるであろうモンゴル代表の健闘を大いに期待したい。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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