アーセナルはなぜ1点を守り切れなかったのか。最後に出た甘さ、ジャカを激怒させた小さなミスとは?【EL分析コラム】

UEFAヨーロッパリーグ準々決勝1stレグ、アーセナル対スラヴィア・プラハが現地時間8日に行われ、1-1の引き分けに終わった。決定機を外し続けたアーセナルは86分にようやく先制。しかし、ダビド・ルイスやキーラン・ティアニーを欠く守備陣は、その1点を守り切ることができなかった。(文:加藤健一)

2021年04月09日(Fri)11時29分配信

シリーズ:分析コラム
text by 加藤健一 photo Getty Images
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記録に残らないアーセナルのミス

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【写真:Getty Images】

 決定的なチャンスを何度かふいにしたアーセナルは、78分に3枚替えを行う。ブカヨ・サカ、トーマス・パルティ、アレクサンドル・ラカゼットを下げ、ピエール=エメリク・オーバメヤン、ニコラ・ペペ、モハメド・エルネニーを投入。この交代で攻勢に出たアーセナルは、カウンターの流れからペペが抜け出し、左足でゴールに流し込んだ。

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 試合終盤に先制したが、ホームのアーセナルは勝利を目前のところで逃している。後半アディショナルタイムにCKからトマシュ・ホレシュが押し込み、ゴールネットを揺らす。アーセナルは虎の子の1点を守り切ることができなかった。

 記録にすら残らない小さなミスが、アーセナルの失点につながった。アディショナルタイムが2分を経過しようかという頃、スラヴィア・プラハのカウンターが引っかかり、アーセナル陣内でガブリエウ・マガリャンイスがボールを処理した。左サイドのセドリック・ソアレスにボールが渡り、ガブリエウがリターンを受ける。しかし、ガブリエウのトラップが浮いてしまったことで相手選手に寄せられ、自陣の深い位置でスラヴィア・プラハにスローインを与えてしまった。

 スラヴィア・プラハはリスタートしてボールを繋ぎ、ウカシュ・プロボドが左足で強烈なシュートを放つ。角度のない位置から放たれたシュートはGKベルント・レノがセーブしたが、これが先述したCKへとつながった。最後の最後で、アーセナルに甘さが出てしまった。

ジャカを激怒させた判断

「ただボールをクリアするだけだろ!」

 グラニト・ジャカが激怒した様子を、英ラジオ局『talk SPORTS』のウェブサイトは伝えている。該当シーンを映像で確認することはできなかったが、ジャカはFワードを用いて味方を怒鳴りつけた。

 問題なのはガブリエウのミスではなく、チームとして意思統一が見られなかったことだ。先制した後の時間帯で、ボールを保持しようとする選手と、クリアして守り切ろうとする選手が両方いた。

 後半アディショナルタイムに入った直後、ゴールキックの場面でアーセナルはショートパスを繋ごうとしていた。ミケル・アルテタ監督は大きな声でロングボールを蹴るように指示を送っている。

 先述のシーンでも、バックパスを受けたガブリエウがレノに戻せば、レノが大きく蹴りだすこともできた。パスを受けたセドリックも前に蹴りださず、ガブリエウに戻しただけ。敵陣にクリアしていれば守備のブロックを整えることもできたが、結果的に自陣でスローインを与えてしまった。

 同点にされるリスクと、追加点によって得るリターンを天秤にかけて考えたのだろうか。同点ゴールはスラヴィア・プラハにアウェイゴールを献上することを意味しており、両者にとっての次の1点は重みが異なる。残り時間の長さを考えれば、ボールを捨ててでも守り切るのがベターな選択だった。

 ジャカが議論を交わしたことについて問われたアルテタ監督は「それ(失点)が起きる前にそれ(議論)できていれば、さらによかったね」と話している。「ピッチで起きたことを振り返ると、我々が期待していたものではなかった」と振り返っている。

 もちろん、それまでの時間帯でサカやラカゼットが決定機を決めていれば楽な試合だった。しかし、決めきれない試合はサッカーではよく起こる。アーセナルは自らの手で試合を難しくしてしまった。

(文:加藤健一)

【了】

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