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EURO2020 3年前

イタリア代表、背番号6が残した驚異的な数字とは? 輝くホットラインがベルギー代表を圧倒【ユーロ2020分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

イタリア代表のホットライン



 もしこのまま2-0で前半を終えていれば、イタリア代表の勝利はぐっと近づいていただろう。しかし、FIFAランキング1位のチームも食い下がる。エデン・アザールの代役に抜擢されたドクがドリブルを仕掛けてPKを獲得。ロメル・ルカクがこれを決めて前半アディショナルタイムに1点を返した。

 ベルギー代表の攻撃パターンは3つ。1つはルカクが前線でキープして2列目の上がりを待つ。DFラインの前でボールを受けたデ・ブライネが運んでラストパスを送る。ドクが左からドリブルで仕掛ける。ポゼッションから攻撃を組み立てることはほぼ不可能。つまり、カウンターを中心に3人で打開してくれというリクエストだった。

 しかし、足首に怪我を抱えるデ・ブライネは60分あたりから足が止まる。ウイングバックも低い位置に留められるので、中盤をヴィツェルとティーレマンス2人でカバーしなければならない。ベルギー代表は完全に手詰まりで、イタリア代表がコントロールしていた。マンチーニ監督も試合後に「どの時間もそんなに苦しんだとは思っていない」と手応えを感じている。

 この試合で、ヴェラッティは74分に下がっているにもかかわらず、89本のパスを成功させている。97%という驚異的な成功率の高さで、そのうち31本はインシーニェへのパスだった。また、ジョルジーニョも99%の成功率で74本のパスを成功させ、うち24本をヴェラッティに通している。

 ヴェラッティを中心に、イタリア代表のパスワークが試合をコントロールした。ジョルジーニョからヴェラッティ、そしてインシーニェへ。中盤の数的優位を追い風に、イタリア代表のホットラインが輝いていた。

(文:加藤健一)

【了】

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