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待たれる“ラッキーガール”の爆発。なでしこジャパンの切り札が五輪の舞台で感じた「責任」【東京五輪】

text by 編集部 photo by Getty Images

遠藤純
【写真:Getty Images】



 東京五輪のサッカー競技が21日に開幕し、日本女子代表(なでしこジャパン)はグループEの初戦でカナダ代表と対戦した。

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 前半早々にカナダに先制を許して苦しい展開が続いたものの、日本の選手たちは最後まで諦めずに奮闘。84分にエースのFW岩渕真奈がワンチャンスを生かして同点ゴールを奪い、1-1のドローに持ち込んだ。

 大会直前のオーストラリア女子代表との国際親善試合までは、いい流れできていた。着実にチームとしての積み重ねが感じられ、五輪本番への期待も高まっていた。しかし、初戦は極めて平凡な戦いに終始し、なでしこジャパンの躍動感は鳴りを潜めた。

 高倉麻子監督は東京五輪に臨むメンバーの発表時に「ラッキーガールに現れてほしい」と語っていた。今、まさにその「ラッキーガール」の登場が待たれるところだ。

 大きなステップアップの兆しがなかなか見えてこない現状を打破し、チームに勢いをもたらすのは誰か。「ラッキーガール」の筆頭候補はFW遠藤純だろう。

 左利きのアタッカーで、これまでは途中出場がメイン。サイドでもストライカーでも複数のポジションを柔軟にこなすが、最近は最前線での起用が続いていた。大会前の事前合宿では男子高校生との練習試合で強烈な弾丸ミドルシュートをゴールに叩き込むなど、大きな爆発力を秘めている。

 遠藤はカナダ戦で後半の62分から起用され、主に左サイドのポジションからゴールを目指した。五輪デビュー戦に「緊張は全くなかった」と平常心で臨んだ21歳は、攻撃が停滞するなでしこジャパンの起爆剤と期待されていた。

 しかし、「いつもゴールにつながるプレーを増やして、チームが勝つために自分ができることをやろうと思って(試合に)入っているんですけど、今日は自分自身の1対1の部分で負けることが多くて、なかなかチャンスを作れなかった」と後悔の残るパフォーマンスだった。

 屈強なカナダのディフェンス陣の阻まれ、なかなか持ち味である豪快な突破やシュートを打たせてもらえず。「途中から入る人の役割を果たせなかった」と、遠藤は悔やむ。

「自分が目指してきた場所に立てたのはすごく嬉しかったですけど、それでもやっぱり勝たなければいけないという責任をすごく感じました」

 試合前の緊張はなかったが、ピッチに立ったことで結果を残さなければいけない「責任」をいつも以上に肌で感じたのだろう。「カナダの選手の強さをもう少し(事前に)わかっていたら、自分の中で戦い方が決まっていたんじゃないか」と経験不足も実感するが、強力な個の力を持つ相手と渡り合った一戦を終えて、次戦にかける思いは一層強くなっている。

「今日の試合で勝ち点1でしたけど、そこをポジティブに捉えて、次は絶対に勝たなければいけないのは自分もチーム全体でも感じているところなので、全力で勝ちを目指して頑張りたいと思います」

 次の対戦相手となるイギリス女子代表は、イングランドの強豪マンチェスター・シティの選手たちをベースとした大会屈指の実力を誇るチームだ。初戦はチリ女子代表に2-0で勝利している。

 世界的な強豪相手に遠藤が「ラッキーガール」となるか。強力な左足のシュートをゴールに突き刺し、東京五輪の大舞台で世界を驚かすことができれば、なでしこジャパンも勝利に近づくだろう。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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