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U-24日本代表に誕生した“英雄“。まるで“17年前の再現“…川口能活も評価する賢さ【コラム/東京五輪男子サッカー】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by JMPA,Getty Images

「晃生の方が僕より賢くやってますよ」



 谷はU-24日本代表にオーバーエージ(OA)3人が加わった6月から正守護神に据えられた。もともと反応が速く、シュートストップには絶対の自信を持っていたが、安定感と落ち着き、自信が増した印象だ。ハイボールに対する飛び出し、ボールを受けてからのビルドアップも難なくこなしており、吉田ら最終ラインも安心して幅広いプレーエリアやタスクを任せているように見受けられる。

 DFラインには30代の吉田、酒井宏樹、A代表でレギュラーの冨安健洋が並んでいる。OA合流間もない頃は、気後れや遠慮もあったかもしれないが、年齢に関係なく背後から指示を送り、ピンチを未然に防いている。その力強い一挙手一投足も若かりし日の川口GKコーチを彷彿させる。「晃生の方が僕より賢くやってますよ」と恩師は笑ったが、その賢さ含めて谷の進化を頼もしく感じているに違いない。

 何とかPK戦で勝ち切った日本は8月3日の準決勝、7日の決勝に向かうことになる。が、トップ4に残ったのはスペイン、ブラジル、メキシコという強豪国ばかり。守護神の顔ぶれを見ても、スペインのウナイ・シモンは先のユーロ2020(欧州選手権)で4強入りした実績があるし、ブラジルのサントス、メキシコのギジェルモ・オチョアはOA枠のベテラン。谷はその中で圧倒的なインパクトを残さなければいけない。

 実際、主要国際大会でタイトルを取るチームのGKというのは、傑出した選手ばかりだ。むしろ、頭抜けた守護神がいなければ、頂点には立てないと言っても過言ではない。日本の20歳の若武者がその領域に足を踏み入れることができれば、9月からスタートする2022年カタールワールドカップアジア最終予選に向けての大きな希望にもなる。

 今回の好パフォーマンスとPK戦でのビッグセーブを大きな自信にして、谷晃生にはU-24日本代表をグイグイと情熱的に牽引し続けてほしい。

(文:元川悦子)

【了】

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