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U-24日本代表の想いよ届け。ラストゲームで銅メダル獲得へ、心ひとつに「全員で笑顔で終わりたい」【東京五輪男子サッカー】

text by 編集部 photo by Getty Images

U-24日本代表
【写真:Getty Images】



 U-24日本代表が最後の戦いに挑む。東京五輪の男子サッカー3位決定戦が6日に開催され、U-24メキシコ代表と対戦する。長きにわたってともに戦ってきた東京五輪世代のチームは、集大成としての銅メダル獲得を目指す。

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 3日の準決勝で延長戦の末、U-24スペイン代表に敗れた後の喪失感は凄まじかった。誰もが「金メダル獲得を目指していたので…」と口を揃え、涙で目を真っ赤に腫らした選手や、消え入るような声しか出なくなっている選手もいた。

 だが、精神的にも肉体的にも厳しかった敗戦と向き合い、U-24日本代表の選手たちは懸命に前を向く。まだ3位決定戦で銅メダル獲得のチャンスが残されており、それに全てを捧げる覚悟を決めた。

「僕はこのチームが好きだし、いいチームだと思うので、シンプルにこのチームで勝って終わりたいという気持ちだけですね」

 累積警告による出場停止のため準決勝のスペイン戦を欠場したDF冨安健洋は、敗戦の翌日にチームへの素直な思いを口にした。

「決勝でプレーするイメージでいたし、チームメイトのことを信じて、勝てると思っていたので、(3位決定戦に向けて)本当にやれることをやって、出し切って終わる大会にしたいと思います。『終わりよければすべてよし』ではないですけど、最後しっかり勝って、皆で笑って終われればいいと思います」

「僕たちが一生懸命やっている姿を見て、皆さんに元気や勇気を与えられる試合をもう1試合やり、それにプラスして銅メダルを獲ることで、歴史に名を刻める。僕たちが求めていた金メダルではないですけど、銅メダルという結果で、歴史に名を刻めればいいと思います」

 冨安の言葉はシンプルだが確かな決意が込もっている。そして、他の選手たちも皆同じ思いを共有している。スペイン戦の敗戦を乗り越え、再びチーム一丸となって銅メダルを目指す。多くの時間を共有してきたチームメイトや仲間たちへの想いも強い。

「ピッチ外ではうるさくて、仲がよくて。でも、練習に入ると人が変わったように集中してやるので、そういったところがこのチームのよさでもありますし、いいチームだったと思います。みんな言っていますけど、メダルを獲る、獲らないでは大きな違いがある。そこに懸ける思いはみんな強いと思うので、笑って終われるようにしたいと思います」(前田大然)

「選ばれているメンバーは毎回違いますし、今回この22人でやるというのも、五輪本大会が最初で最後だと思いますけど、僕は本当に最高のチームだと思います。ピッチ外でもよくコミュニケ―ションが取れるし、逆に指摘もできるし、本当にいいチームだと思うけど、やっぱりそこに結果がほしい。最後はメダルという形に残せれば。『終わりよければすべてよし』ではないですけど、笑って終われるのかなと思います」(谷晃生)

「本当に勝って終わりたい。あれだけ金、金と言って、もう金メダルはないけど、本気でここからメダルを取るために準備しないといけない。次は難しい試合になると思いますけど、最後は全員で力を合わせてやれれば(銅メダルを)獲れると思う。ここでやっぱり獲ると獲らないでは、ここからの日本サッカーも含めて大きく変わる。これだけ自分たちが積み上げてきた中で、ここで獲れなければ意味がないという感じもします。

本当に全員で準備して、最後は携わってきた人もそうですし、本当にみんなで喜びたいなと思いますね。もちろん金メダルではないけど、メダルを獲らなければ忘れられるし、本当にいいチームなので、メダルを獲って皆さんの心の中に残るようなチームになりたいなと思うし、なれると思います。本当に全員で皆さんの力を借りて、全員でメダルを獲って笑顔で終われればいいかなと思います」(田中碧)

 オーバーエイジ選手として今年6月からU-24日本代表に加わった吉田麻也は、スペインに敗れた直後の取材で「ロンドン五輪の時は、ここ(準決勝)でメキシコに負けて、燃え尽きてしまった感があったので、そうじゃなくて、やっぱりメダリストになりたいです。そこはみんなそうだと思う」と述べたうえで、次のように続けた。

「育成年代で、(U-24代表が)このメンバーでやれるのは最後の試合になると思います。ここが終われば、上にのし上がっていく選手もいれば、結果が出なくて燻ってしまう選手も出てきます、正直ね。それがプロだと思うし。できればみんなと、また同じ上の舞台で戦いたいですけど、そんなに甘い世界じゃないので。この世代、本当にいいチームだと思うので、何としても最後、勝たせて終わらせてあげたいなと思います」

 そして、メキシコ戦前日の5日には準決勝後の談話に関連して、改めて銅メダル獲得への強い想いを語った。9年前のロンドン五輪では3位決定戦でU-23韓国代表に敗れ、あと一歩で逃した栄誉。キャプテンは誰よりも「勝って終わる」ことの重要性を理解している。

「ピッチ内外でいいチームだなと思います。もちろん仲のいいグループがいくつかあります。それは普通のこと。22人の若い選手、男の子がいればいろいろなタイプの人間がいて、それでもうまくバランスが取れていて、お互いにいい仲間であり、いいライバルである関係をみんなが各々、いろいろなポジションで築けているんじゃないかなと思います。それはセンターバックにしてもGKにしてもアタッカーにしてもそうだと思います。

彼らと同じように、最後勝って終わらせたいなと思っていますし、この間も話しましたが、ここからサッカーキャリアが枝分かれしていきます。その中でやっぱり『あのときはよかったな』と思う日が来ると思う。僕にとってロンドン五輪はそういう思い出、そういう大会になりましたし、逆に言うと北京五輪の時はまったくそういう思いにならなかった。やっぱりロンドン五輪のときみたいな、もしくはそれ以上の思い出としてみんなの心に刻まれる、刻んでほしいと思っていますし、そこに導きたいなと思っています」

 U-24日本代表はチームの全員が同じ方向を見て、一丸となっている。終わりよければすべてよし。銅メダルを獲って歴史を塗り替えたい。日本サッカーの未来を作る一歩を刻むために。最後の戦いはまもなくキックオフとなる。

 東京五輪世代の集大成、フィナーレは何としても笑顔で。想いよ届け。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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