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東京五輪 3年前

U-24ブラジル代表が大胆すぎる…その采配の狙いとは? 90分で交代0、なぜ金メダル獲得できたのか【分析コラム/東京五輪男子サッカー】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

最高の時間に先制。しかし、スペインは流石だった



 そのU-24ブラジル代表は前半アディショナルタイムという最高の時間に先制点を奪うことができた。左サイドに流れたリシャルリソンのサポートに回ったクラウジーニョがクロスを上げ、ダニエウ・アウベスの折り返しを最後はクーニャが押し込んでいる。

 とくに前半の終盤はブラジルが攻め込む時間が多かったので、スペインの選手たちはかなり体力を消耗していた。このまま南米のサッカー大国が勝ち切ってもおかしくはない展開だったことは間違いない。

 しかし、スペインはさすがだった。

 前半から気になっていたのは、U-24ブラジル代表のプレスがなかなかハマっていなかったということだ。リシャルリソンとクーニャの2トップで寄せに行き、全体を押し上げコンパクトにする。ここまでは良かったが、先述した通りなかなかボールは奪いきれていなかった。

 ただこれは、ブラジルの問題というよりスペイン側の上手さが際立っていたからと言っていいだろう。スペインはビルドアップ時、インサイドハーフがブラジルのサイドハーフとボランチの間、つまり2トップの脇まで降りてきてCBからパスを引き出す。そして必ずと言っていいほどワンタッチでアンカーのマルティン・スビメンディへ預け、プレス回避して展開していたのだ。

 ブラジルのダブルボランチは下がるインサイドハーフを懸命に捕まえに行くが、さすがにダイレクトではたかれると奪いきれない。強引に足を出したとしても、ほとんどがファウルとなってしまった。

 実は61分の失点シーンは上記の形から生まれている。

 エリック・ガルシアから下がってきたカルロス・ソレールにパスが入り、ワンタッチでスビメンディへ。そこから再びCBへパスが戻り、右サイドへ展開。直前にボールを受けて捌いたソレールはボランチの背後を取り敵陣深くへランニング。そこでボールを受け、最後はオヤルサバルのゴールをお膳立てしている。

 ソレールが下がった際、ブルーノ・ギマランイスが付いていたのだが、ワンタッチで捌かれたことで一瞬足が止まってしまった。そしてソレールに背後を取られてハーフスペースに走り込まれ、最後は懸命に追うもフリーでクロスを上げられている。まさに、スペインの狙いにハマってしまった瞬間だった。

【次ページ】大胆過ぎた采配

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