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東京五輪 3年前

U-24ブラジル代表が大胆すぎる…その采配の狙いとは? 90分で交代0、なぜ金メダル獲得できたのか【分析コラム/東京五輪男子サッカー】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

東京五輪(東京オリンピック)・男子サッカーの決勝、U-24ブラジル代表対U-24スペイン代表が7日に行われ、2-1でブラジルが勝利。この結果、大会連覇を果たすことになった。スペインにさすがの粘りを見せられたブラジルだが、最後はなぜ勝利することができたのだろうか。(文:小澤祐作)

スペインを困らせた背番号20

U-24ブラジル代表
【写真:Getty Images】

 とにかくレベルが高かった。これだけ素晴らしい試合に観客を入れられなかったことは非常に残念で、改めて新型コロナウイルスは憎い存在だなと感じた。

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 U-24ブラジル代表はPK戦までもつれ込む激闘となった準決勝U-24メキシコ代表戦とほぼ同じメンバーで決勝に臨んでいる。唯一変更があったのはパウリーニョではなく、怪我明けのマテウス・クーニャを起用したことだった。

 ブラジルは今大会これまで4-2-3-1が基本となっていたが、このスペイン戦では4-4-2を採用している。守備時の狙いはリシャルリソンとクーニャの2トップがアンカーへのパスコースを切りながらセンターバックにプレッシャーを与え、相手のビルドアップに制限をかけること。実に明確だった。

 しかし、U-24スペイン代表はそれでもやはりパスをしっかり繋いでくる。U-24ブラジル代表はプレスに行くまでは良いが、なかなか奪いきれずペースを相手に握られていた。16分には、マルコ・アセンシオの高質なクロスからミケル・オヤルサバルに決定機を作られている。

 それでも、ブラジルは20分過ぎあたりから徐々に流れを掴めるようになった。この時カギを握っていたのはクラウジーニョである。

 クラウジーニョは左サイドハーフスタートだったが、流れの中ではある程度自由に動いており、ハーフスペース、場合によってはトップ下の位置まで移動することがあった。スペイン側はこのように多彩な動きを見せる背番号20を捕まえきれず、何度もフリーにする場面が目立っていた。

 またクラウジーニョが内側にポジショニングし、時間とスペースを作ることで左サイドバックのギリェルメ・アラーナがより攻撃参加しやすくなっている。25分にはフリーでボールを持ったクラウジーニョからアラーナにパスが展開され、リシャルリソンの決定機に繋がった。

 内側に入り、高い位置と幅を取るSBアラーナに展開し、そのままサイドに流れてサポートに回るという動きを前半からよく見せていたクラウジーニョ。疲労の影響からか右ウイングであるアセンシオのプレスバックが間に合っていなかったので、U-24ブラジル代表はこの左サイドで数的優位な状況をよく作れていた。ルイス・デ・ラ・フエンテ監督が前半のみでアセンシオを下げたのは、こうした部分の影響が大きかったと言える。

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