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日本代表 3年前

長谷川唯が語った「もっと理論的に」の真意。東京五輪8強敗退、なでしこジャパンの中心として抱く未来への覚悟【インタビュー】

シリーズ:コラム text by 舩木渉 photo by Getty Images

ウェストハム移籍。イングランド挑戦へ

長谷川唯
【写真提供:アディダス・ジャパン】



――以前、内田篤人さんや酒井高徳選手による「日本と海外のサッカーは別の競技」という発言が話題になりました。それを身をもって体感したわけですね。

「日本人の方がスピードは遅いですけど、組織で賢く守ったり、粘り強く抜かれない守備をする選手が多かったりします。でも、それに慣れていると、海外の選手は懐に飛び込んでくるので、簡単にボールを奪われてしまう。そういった違いは、イタリアに行ってすごく実感しました。

――日本と欧州との違いといえば、もう1つあります。それはピッチ状態です。普段から整ったピッチでプレーしていた日本人選手は、欧州のぬかるんでいて柔らかいピッチに慣れるまで相当苦労するという話を聞いたことがあります。長谷川選手はイタリアのプレー環境にうまく適応できましたか?

「私はイタリアでもアディダスの『コパ センス』を履いていたんですけど、滑ることはほとんどなかったですね。もちろんぬかるんでいたり、雨で荒れていたりするグラウンドもありましたけど、そんな状態でも滑らずプレーできて、スタッドの高さも自分にとってはベストでした。もちろん状況によっては取り替え式スタッドのスパイクを履くこともあります。でも、自分は基本的に固定式スタッドのスパイクを履きたくて、イタリアのグラウンドでも固定式でしっかりプレーできていました。革の履き心地もすごくいいので、お気に入りです」

――ミランでの半年間を経て、ウェストハムへの移籍が決まりました。イタリアとイングランドでは、サッカーの特徴が変わってくると思います。昨季アストン・ヴィラでプレーしていた岩渕真奈選手もイングランドの女子サッカーへの適応にかなり苦しんでいた様子でした。

「私もブチさん(岩渕)の試合を見ていたので、難しさはよくわかりました。いい位置に立っていてもパスが来なかったり、ボールが自分の頭上を越えていったり。ウェストハムでも同じような場面があると思いますけど、その中で自分がボールを持った時に何ができるかを意識していきたいです。

日本ではボールを受ける前の準備段階でいいポジションを取っていたらしっかりパスが来て、自分の優位な体勢でボールを握れたんですけど、海外に行ったら、サッカー観の違いもあって、苦しい状況でボールを受けることだったり、難しいシーンも多いと思います。それでも自分のところでボールを失わないことや、難しい体勢からでも自分からチャンスメイクすることを目標に、得意ではない部分をもっと上げて、新しい武器にしていければと思っています」

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